SOMEDAY 〜 Chapter.12 True Love 〜
「ジニーは・・・。 ジニーもジェームズと同じことを言ったよ? 僕が君の事を「好き」なんだって・・・。」 「す、好き?」 「そう、好き。」 「な、何言ってるのよ。 好きに決まってるじゃない! だって家族なんだもの。 それに、あなたは私の大切な親友だわ。」 当たり前の事を、さも当たり前の様に言っていた。 好きの意味が全く違う事を頭ではわかっているのに…。 「・・・そうだよね? そう。 家族で親友だよ、僕たちは。 それ以上でもそれ以下でもないよね?」 「・・・ハリー。」 「解ってるんだ、頭では。 でも・・・。」 これ以上聞いてはいけない気がした。 聞けばきっと自分にも歯止めが効かなくなる。 きっと取り返しのつかない事になる。 私の頭の中で、警報が鳴り響いた。 だけど、今の自分にはハリーの言葉を 聞きたい気持ちの方が勝っていたのだ。 彼の言葉を遮る事は出来なかった。 「でも・・・?」 「うん。 心はそうじゃないって言ってるんだ。」 「ど、どういう事?」 「僕は・・・、 ジニーやジェームズの言う様に・・・」 「・・・」 「君といる時が一番幸せだと気付いている。」 真っ直ぐ見詰めてくるハリーから、 目を離す事なんて出来なかった。 子供の頃からずっと見てきた碧色の瞳。 その先はいつも違う所ばかりを見ていた。 クィディッチやヴォルデモートの事、私以外の女の子の事。 多分私の目は、真っ直ぐにハリーだけを見ていたはずなのに、 彼の目は私を通り越して、決して視線が交わることはない。 だけど今夜は・・・。 今夜は真っ直ぐに私だけを見てくれている。 「今になって気付くなんて・・・。 もう何も変わらないかもしれないけど、 でももう自分に嘘をつくのは嫌だ。 幸せな振りをするのも、 愛してる振りをするのも、 もう疲れた。 僕の本当に欲しいものは、そんな大袈裟なことじゃないんだよ。 愛とか幸せとか、そんな漠然としたものじゃなくて・・・、 僕の欲しいものはたった一つ。 ハーマイオニー、君だ。」 知らず知らず涙が溢れて、私はハリーに優しく抱きしめられていた。 もう自分を止める事なんて出来ない。 「・・・・ハリー。」 答える代わりに、ギュッと彼を抱きしめる腕に力を込めた。 「もう・・・、遅い?」 「あなたにはジニーとジェームズが。 私にだってロンがいるわ。」 「今はそんな事を聞きたいんじゃないよ。 君の僕に対する気持ちを・・・、聞かせて?」 抱きしめられたまま、真剣な碧の瞳に捕われる。 許して・・・、神様。 ロン、ジェームズ、そしてジニー。 今だけ、この瞬間だけ、ハリーを私にください・・・。 ずっと欲しかった彼の温もりを、今だけ感じさせて・・・? 「ハリー? 私は貴方に出会う為に生まれて来たと、ずっと思ってた。 今もその気持ちに変わりはないわ・・・。」 「ハーマイオニー・・・」 「貴方がいるから、私は生きているの。 貴方がいなくなったら、私も存在する意味がないわ。 例え貴方が誰を愛しても、私は貴方が存在してくれてるだけでいいのよ。 そのくらい大切なの。 命をかけてもいいわ。」 ハリーの瞳から一筋の涙が零れ落ちた・・・。 その涙をそっと唇で拭う・・・。 「この歳になって初めて、 本当に欲しかった言葉を貰う事が出来たよ。 いままで気付かなかっただけで、 僕はずっと君のために戦っていたような気がする。 そして君はいつも僕のために戦ってくれていた・・・。 ずっと僕のために、あの頃から命をかけてくれていたんだ・・・。 ・・・ハーマイオニー? キス、して?」 ハリーの言葉に胸が高鳴った。 男の人からキスをせがまれたのは初めてだった。 いつも強引で、主導権を握られてるキスばかり。 それが当たり前だと思っていた。 男と女の繋がりが、そうあるべきだと思っていたのはなぜなんだろう。 いつの間にか、女である自分が、受け身になることで うまくいっていると思い込んでいた。 そう・・・、無意識に植えつけていた固定観念。 でもそれはきっと違う。 ハリーとは上下の力関係もなく、 ただお互いに気持ちを分かち合う事が出来る。 これが私の求めていたもの・・・。 お互いの唇はただ触れ合うだけだったけど、 今までで一番深く繋がり合えたキスだった。 その日の夜…、と言っても もう朝に限りなく近い時間だったけど、 私たちは一つのベッドで眠りについた。 ただお互いの体温をパジャマごしに感じるだけで、 まるで子供同士が眠るみたいに寄り添って・・・。 …ハリー? …ん?なあに? …温かいわね? …うん。それにすごく気持ちいい。 …もっとくっついてもいい? …もちろん。きて…。 ・・・この夜私達は、はじめて満たされるということを知った・・・。 お互いの腕の中で・・・。 お互いの吐息を感じながら・・・。 ← Chapter.11 へ → Chapter.13 へ
======== 恋とか愛とかそんなんじゃなくて、 もっともっと深い繋がり。 寄り添うだけで伝わり合う、お互いの気持ち。 力不足でこれ以上書けませんが、 ハリハーを愛する方なら、私の言いたいことは解って頂けるかと・・・? これ、クリスマスにUpしたかった場面です。 セリフも当初予定していたものとは変わってしまいました。(泣) もうしばらく続きます。 よかったらお付き合いくださいませ。 ========