His Birthday 9
ハリーは私の手を取り、廊下の1番奥の部屋まで連れて行った。 どうしよう・・・。 これって、そういう事なのよね? 自分で決めてここに来たくせに、今更ながらに緊張してきた。 それにハリーが私を好きだなんて信じられなかった。 今までそんなそぶりを見せたことないし、 私はハリーはずっとジニーを好きだと思っていたから・・・。 「ねぇ、そんな緊張しないでよ。捕って食うわけじゃないんだからさ。」 「え?食べないの?」 ・・・って私、何を言ってるのよ!? 「・・・食べて・・・、いいの?」 「だって・・・!」 自分一人が勘違いしていたみたいでとっても恥ずかしい。 ハリーはただ一緒に居ようって言っただけなのに・・・。 「わ、私は・・・。 私はそのつもりでここまで来たもの・・・。」 「うん、 ごめん。 解ってる。 僕もそのつもりで君を誘ったから・・・。」 だったら、どうして?と言おうとした私より先に、再びハリーが話し始める。 「君は僕の中で、ずっと大切な親友だった。 それ以上でもそれ以下でもない。 本当についこの間までそうだったんだ。」 「知ってるわ。あなたが私を親友以上に見てない事は・・・。 私は自分の気持ちに気付いていたけれど、 あなたは決して私を女の子として見てはくれなかったわ。」 「うん、その通り。 悪い事をしたと思ってる。 でもそんな鈍感な僕のせいで、 僕は気付かなければ良かったと思う事を気付いてしまったんだ。」 ハリーの表情はとても苦痛に満ちていた。 これから何を私に告げようとしているのか、皆目見当もつかなかった。 「それは・・・、 それはロンが君の事を好きで、 ジニーが僕を好きだということだ。 ロンは僕の大切な大切な親友なんだ。 彼を傷つける事なんて出来ない。」 「でも私の好きなのはずっと貴方だったわ!」 「だけど・・・、ロンは君にとっても大切な親友だよね? もし今から僕たちが付き合い初めたら?ロンはどうなる? 永遠に僕たちはロンを失う事になるだろう? それは君にとっても辛い事だよね? 仲のいいジニーとだって、元には戻れなくなるだろう。 君にそんな思いはして欲しくないんだ・・・。」 ハリーの言う事はよく解った。 私達が結ばれるという事は、永遠にロンとジニーの友情を失う事だ。 でも、私はハリーも失いたくはない。 彼から愛してもらいたかった。 彼からたくさんのキスをして欲しかった。 それは叶わない事なの? 「それに僕は自分が君の事を好きな気持ちに気付かないで、 ジニーを好きだと思っていたんだ。 ロンとジニーの二人はそれを信じているよ。」 「でもあれは、私の白昼夢呪文のせいなんでしょう?  私が貴方の心を操ったから・・・!」 ここで初めてハリーが私に触れた。 両手を私の肩に置き、優しく自分の方へ引き寄せたのだ。 「ごめん、ハーマイオニー。  君を責めているんじゃないんだ。  そういう意味で言ってるんじゃないんだよ。  ただタイミングが悪かった・・・って。  どんなに愛してたって、結ばれちゃいけない恋もあるんだろうな・・・って。  そう感じただけなんだ。」 「私と貴方は結ばれちゃいけないの?」 「・・・うん。多分そんな気がする・・・。」 「じゃあどうして此処に呼んだの?  どうして私と誕生日を一緒に過ごしたいって思ってくれたの?」 「・・・自分の気持ちが溢れそうだったから・・・。  こんなに気付くのが遅かったくせに、  気付いたら大きくなりすぎていて・・・」 私はハリーの手を掴み、ベッドのあるほうへ引っ張って行く。 ハリーの首に手を回し、そのまま自分の方へ引き寄せながらベッドに腰掛けた。 自然とハリーが私に覆い被さるような形になった。 「解ったわ、ハリー。  今夜だけ・・・、私を愛してくれる?  私もロンやジニーを傷つけたくはないの。  自分はずっと前に、あなたとは友達で居ようって決めていた。  女の子としてではなく、親友としてそばに居ようって決めたのは自分だったの。  でもあなたからの愛も欲しい・・・。  これから先、女の子としてじゃなくてもいから・・・、  ずっとあなたのそばにいたいわ・・・。」 「一つだけ方法があるよ?  僕と君がずっと一緒にいられる方法が・・・。」 「それは・・・」 「うん、さっき君が言った通り、  僕と君がこのままずっと友達で居る事。」 「・・・・。  君と離れないためにはそうするしかないような気がする・・・。」 「だから、今日は君に来て欲しかったんだ。  今日だけ・・1日だけ僕の恋人になってもらいたかった。    これは僕からの君への仕返しだよ?  いい?有無はいわせないから・・・。  僕の気持ちを受け止めてよ・・・。」 「ハリー・・・。」 そして切なく繋がる唇・・・。 おたがいの存在を確かめるように、深く激しく繋がる・・・。 1日だけの恋人同士。 だから絶対に忘れたくはない。 ハリーの全身の温もりを刻み込むかのように、私はハリーを求めた。 明日からは友達として、ずっと一生接していかなくてはならない。 それが私たち二人の出した答えだった。 こんなに愛し合っているのに・・、お互いの気持ちを優先しすぎて タイミングを逃してしまった私たち。 自分達の愛も大切だけど、やっぱりロンとの友情も大切。 特にハリーにとっては・・・。 私が出した答えの一番の理由は、それが全てだった。 ハリーの腕時計が日付を変えるアラームを鳴らした。 そしてハリーの17歳の誕生日・・・。 私は最初で最後の言葉を口にする・・・。 "HAPPY BIRTHDAY・・・HARRY! AND...I LOVE YOU,FOREVER..."                                                THE END・・・ですが、後日この回のハリーバージョンをお届けします。 10(おまけ)  
軌道修正入れずに突っ走ればよかった・・・。
何とも違和感のある連載になってしまって、申し訳ありません。
誰も傷つけることなく、二人が一緒にいるためには、
やっぱり友達でいるしかないんだ・・・と、若い二人は考えました。
何を犠牲にしても怖くないわ!とは思わなかったんですね。
特にハリーの小さい頃からの境遇を考えると、ハリーはロンを傷つける事は
絶対に出来ないと思ったりしました。
最後まで読んでくださって恐縮でございます。