彼女を1人の女性として意識しだしたのは一体いつからなんだろう? 本当についこの間まで彼女は僕の親友だった。 僕は愛の妙薬のせいとはいえ、ジニーを本気で愛していたし、 それが愛の妙薬のせいとわかった今でも、まだジニーの事が気がかりだった。 ただ・・・、彼女の僕を思う気持ちを目の当たりにして、 気持ちが揺れたことは紛れもない事実だった。 彼女に仕返しをするつもりで、彼女の困った顔を見ていると なぜか自分が彼女を守ってあげたいような、そんな気になった。 いつも彼女は僕を助けようと必死だった。 僕が困っている時も悩んでいる時も、必ず僕のそばに居て手を差し伸べてくれたいた。 ロンと喧嘩をしている時だって、いつも僕の味方で居てくれていた。 今更そんな事に気付いて、彼女の事が気になり始めるなんて・・・。 遅いよ・・、ハリー・ポッター。 すべての運命の歯車はもう回り始めてしまったんだ。 その歯車を止める事など僕にはできない。 彼女を想う気持ちと同じ位、僕はロンを大切に思っていたし、 ジニーの事も大好きだ。 子供の頃から友達や、愛する人がいなかった僕にとって、 今のこの状況を壊す事なんてできるはずがないんだ。 でも・・・・。 彼女を自分のものにしたい・・・! 彼女に愛して貰いたい・・・! いつも僕の事だけを見ていてもらいたい・・・! この気持ちを伝える事は、そんなに罪な事なのだろうか・・・? 「ねえ、ハーマイオニー?」 「ん?なあに?」 さっきまで僕の腕の中に居た彼女に優しく問いかけてみる。 「君はいつから僕の事を好きで居てくれたの?」 「秘密。 これは絶対に誰にも話さないって・・・、さっき決めたの。」 「じゃあさ、いつ、僕とは親友で居ようって決めてたの?」 「・・・いつかしら・・・? 多分あなたがチョウを好きになった3年生の頃かしら・・・。」 「そんなに前から・・・?」 「だって・・・、いつもいつも一緒にいたのに、あなたの好きになるのは 私じゃなかったんですもの。 多分その時にあきらめちゃったんだと思うわ。 案の定チョウのあとには、やっぱり私じゃなくてジニーを好きになったじゃない?」 「だって!あれは愛の妙薬のせいだろ?」 「だけど、ジニーを好きななる前に少しでも私の事を気に掛けてくれた? ・・・私はいつでもあなたの親友という立場から動いた事はないわ。 そうでしょう?ハリー。」 確かにそうだ。 僕は今まで一度も彼女を親友以外・・・例えば女の子として見た事はない。 「だってさ・・・、君の好きなのはクラムやロンかと思ってたんだ。 初めから僕も、君が僕の事なんて好きになってくれるなんて思ってなかった・・・。」 「そうね・・・。 あなたの言うとおりだわ。 私たち、勝手に思い込んで・・・・、そして自分からダメにしちゃったのよ。」 近すぎて見えない・・・。 そう、まるで自分の部屋に彼女がいることに気付かなかった僕みたいに。 まさか自分の部屋に彼女が隠れているなんて考えもしなかった僕は、 忍びの地図で自分の部屋を探そうともしなかった。 あの時あんなに近くにいたのに・・・。 彼女の声や匂いまで感じていたのに・・・。 いると思わない僕は、それをただの勘違いだと思っていた。 同じ事なのかもしれない。 僕は彼女の気持ちを・・・、僕を想ってくれている気持ちを見ようともしなかったんだ。 「でもね、ハリー。 今はあなたの気持ちを知る事ができて本当に良かったと思ってるの。 そりゃ、もっと早く気付いてくれたら・・・って思うけど、 でもこれであなたと私は永遠に一緒にいられるんですもの! 恋人と親友と同じじゃないけど、でも親友としてじゃなきゃ出来ない事が沢山あるわ。 それで十分なの。 そして・・・、それはあなたと一緒にヴォルデモートと戦える・・・って事だもの。」 「かえって今日僕とこうなってしまった事を・・・、後悔してない?」 「あなたが私を愛してくれていたって事がわかって、幸せよ。 知らずにいるより、ずっと力になるわ・・・。」 「・・・これからはずっと・・・親友か・・・。 我慢できるかなあ。 君が誰かと結婚して、子供を産んで、幸せにするのが僕以外の男だって知っても・・・。」 「でもそれは、あなたの愛の上に成り立つ幸せだわ・・・。」 だから大丈夫・・・。 そう彼女が言ってる気がした。 浮ついた愛だの恋だの言うような関係じゃなくて、 魂と魂とが結びついている関係・・・。 それは神様が僕達に与えてくれた、究極の愛の形だろう・・・。 17歳の誕生日に贈られた彼女からの気持ちを胸に刻んで、 これからも僕達は親友として生きていくんだ。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 それからしばらくして・・・、 ハーマイオニーの身体に微かな変化が表れる・・・。 誰にも知られず、でも確かに存在するその愛の結晶は、 二人が愛し合っていたという・・・、確証だった。 グリーンの瞳を持つ1人の魔法使いをどこかで見かけたら、 それは彼女が僕の誕生日にくれた最高の贈り物。 近い将来、君もその魔法使いに出会えるはずだ・・・。 The End ←
His Birthday 10 ![]()
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いや〜な終わり方でしたか?
10回も続いた連載ですが、書きたかった事を箇条書きにすると、
なんと3つで済んでしまいます。
1.近すぎて気付かない想いがある。
2.ベタベタした恋人と言う存在よりも、一緒に戦える親友と言う立場を選ぶ2人。
3.お互い気持ちを封印しても、愛し合った時間は確かに存在する。
どんな形でもいいから、二人の確かな関係を残しておきたくて・・・。
まとまりが悪いのは全て途中で出た7巻のせいです。すみません。
あ、でも7巻の内容とは何の関係もありません。
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