「ハリー・・・?」 急に静かになった僕に、彼女は動揺を隠せないようだった。 僕は僕で、これから何をしようとしているかなんてわからないまま彼女に近づく。 そして彼女は気付いてないけれど、彼女の真後ろに立ちそっと耳元で囁いた。 「・・・ねえ、ハーマイオニー。 どうしたら・・・許してくれるの・・・?」 わざといつもより声を低く掠れさせて、透明マントごしに彼女の身体にぴったりとくっつく。 彼女の身体がビクッと跳ねた。 ますます僕は面白くなって、透明マントから手だけを出し彼女の身体に回してみた。 彼女の口から微かにため息が漏れる。 「ハリー・・・? なぜこんな事をするの? 私をからかっているの? それともこの間の仕返しのつもりなのかしら・・・? 私にした事への反省が全然見られないじゃないの・・・。」 「うん・・・。 自分でもどうしてこんな事してるのか・・・、わかんないよ。 だけど・・・、こうして僕が仕掛ける事に対して、 君が困った顔をするのを見てると、たまんない気持ちになるんだ。 ・・・ねえ、もう一度聞くけれど、どうしたら許してくれる?」 ホントに自分のしている事に説明がつかなかったけれど、 こうして彼女にずっと触れていたかった・・・。 しばらく僕は透明マントごしに彼女を抱きしめ、 彼女は一言も話さず時間だけが過ぎていった。 そして突然彼女の口が開いた。 「ハリー?」 「・・・ん?なに?」 「私のお願いを聞いてくれるかしら?」 「うん、僕が出来る事なら何だってするよ。 それで許してくれるんなら・・・。 なあに?言ってみて。」 「・・・・あなたに・・・」 「ん。」 「あ、あなたにも開心術をかけさせて欲しいの。」 えっ?ぼ・・僕に開心術をか・・かけたい・・? ・・・ってことは・・・ 「ぼ、僕の心の中を見たいってこと・・?」 そりゃそうだ。 開心術だ。 石になったり、失神したりするわけがない。 「で、でも、どうして? 僕の心の中なんて見たって、君には何の意味もないだろう?」 「・・・意味は・・・あるわよ。」 「・・・・?」 「だって・・・! 私じゃあなたになれないんだもの! 今あなたが何に苦しんでいて、何に不安を感じているのか解らないんだもの! だったら・・、開心術で心の中を覗かしてもらうしかないでしょう? あなたはいつも強がって、私の前じゃ平気な顔をしてるじゃない。 力になりたくったって・・・、そうできないじゃない!」 「・・・ハーマイオニー・・・」 そうか・・。 だからあの時彼女の心の中には僕ばっかり出てきたんだ。 いつもいつも僕を心配して・・・。 彼女にとってあれは嫌な思い出なんかじゃない。 僕を心配するあまりに、ずっと心の中を占めている光景なんだ。 だから、白昼夢呪文まで使って僕に悪夢を見させないようにしてくれた。 「・・・わかった。 いいよ。それで君の気が済むのなら、いくらでも見てくれていいよ。」 そう言って僕は透明マントから顔だけを出すと、彼女の正面に回った。 「しっかりと僕の目をみつめるんだ。 そして・・・レジリメンスと唱える。」 「わ・・・わかったわ・・・。」 自分の心の中の何を見られるのかわからなかったけれど、 彼女になら何を見られてもいいと思う自分がいた。 彼女に見られて困る事は何一つない。 彼女は一つ深呼吸をすると、下を向いたままだった顔を静かにあげた。 「本当にいいのね? 私があなたの心の中に侵入しても・・・。」 「うん。」 決然とした表情で彼女を見る。 「君になら、何を見られても・・・全然かまわないよ?」 「じゃ・・・じゃあ、いくわよ?」 「OK」 僕は覚悟を決めて彼女の眼を見つめた。 「・・・レジリメンス!」 ← →
His Birthday 6 ![]()
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な〜んかこういうの書いてて、空しくなる自分。
いいんだろうか?
ハーにまでこんな魔法を使わせてしまって・・・。
7巻、もう出てるわけだし。そう思いません?
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