His Birthday 2
「さて、ロン。  どうする?何から始める?」 「う〜ん・・・。」 「なんだよ?随分気が乗らなそうだね?」 「いや、別にそういうわけじゃないんだけどさあ・・・。」 「じゃ、何だよ?」 「相手はあのハーマイオニーとジニーだろ?  かーなーり、手ごわいぜ?」 「相手に不足はないけどね・・・。」 「君はそうだろうけどさあ・・・。  僕はめっぽう呪いに弱いの知ってるだろ?  ハーマイオニーが杖をこっちに向けただけで失神しそうになるよ。」   「何情けない事言ってんだよ!  好きでもない子とキスまでしたのは、誰のせいだよ。  僕なんか、グリフィンドール全員の前でしちゃったよ・・・。  あ・・・、君もか。」 「やめてくれよ〜〜!    思い出すのも恐ろしいよ・・・。  そうだな・・・、ここはやっぱりギャフンと言わせるか。」 「スネイプからベリタセラムでも盗んできて、  好きな男をばらさせるってのはどうかな?」 「ジニーの好きなのは君だって知ってるんだから、  もういいだろ?」 「ジニーじゃないよ!ハーマイオニーの好きな奴をはかせるんだよ。」 「彼女はクラムだろ?知ってること聞いたって面白くないよ。」 「さては、彼女の好きな男を知るのが怖いんだ・・・?」 「ば・・・ばか言うな!」 真っ赤になるロンを見て、解り易いやつだなあ・・・と苦笑した。 しかし、彼女の好きなのが果たして本当にクラムなのかどうか、 確かめたくて仕方が無い衝動が湧き上がってきた。 「よし!まずはベリタセラムだ。」 「本気かよ〜?  スネイプの棚から盗んで来る位なら、僕、直接ハーマイオニーと  ジニーに聞いてくる方がましだと思うけどなあ・・・。」 「じゃ、決まり!まずはロン。直接2人に無理やりはかせてこいよ。」 「ずるいなあ・・・。物の例えだろ。  分担制で行こうぜ。僕、ジニーんとこ行くから。」 「卑怯だぞ!手ごわい方回しやがって〜!」 「何言ってんだよ。君が又ジニーにフラフラッとこないように、  僕が行ってやるって言ってんだ。  それにハーマイオニーの呪いを回避できるのは、  君しか居ないだろ?」 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 うまくロンに丸め込まれて、僕はハーマイオニーの好きな男の 名前をはかせるべく、彼女の姿をさがした。 彼女の居る所っていえば・・・、図書館か。 思い樫の木の扉を開けると、いつも彼女が座っている1番奥の席まで歩を進める。 そっと書棚の影から奥を覗き込めば、案の定彼女が読書に夢中になっている。 いたいた・・・。 しばらく僕は彼女の様子を観察しようと思い、 気付かないのをいい事に、じっと彼女を見つめた。 髪の毛と同じ色の薄茶色の長い睫毛が、そっと彼女の表情に影を作っている。 少し上を向いた鼻は生意気そうで、彼女のチャームポイントの一つになっている。 そしてほのかにピンク色をした唇は、ふっくらとしていてとても柔らかそうだった。 意外とかわいい・・・。 ちょっと頬を染めてニヤついた顔を元に戻すと、 彼女の瞳が全く文字を追っていない事に気付いた。 何考えてるんだろう・・・? 本を前にして、それを読んでいないなんて尋常じゃない。 ちょっと気になって彼女に声を掛けた。 「ハーマイオニー?」 「あ、ハリー・・・。めずらしいわね?読書?」 ちょっと目を泳がせた彼女を見て、考え事をしていたと確信した。 「いや。君を探してたんだ。」 「・・・・・。  なに?仕返しにでも来たの?」 「そ。あたり。」 「私の読書の時間を邪魔するのが仕返しなの?」 「そんな簡単なことじゃ仕返しにならないでしょ。  ねえ、今何か考え事してた?」 「え?・・・・どうして?」 「君の目が文字を追ってなかった。」 僕のその一言で、再び彼女が困った顔をしたので、 益々彼女の考えている事を知りたくなった。 そこで僕は飛び切りの方法を思いついてしまった。 やってみた事はないけれど、やってみる価値はある。 人の心を除き見るなんて最低の事だとわかってはいたけれど、 この時僕は、彼女の考え事の方が気になって、物の分別がつかなくなっていた。 彼女に不本意な魔法をかけられた事を言い訳にして。 そして彼女とじっと目を合わせると、杖を彼女に向けこう囁いていた。 「レジリメンス・・・。」
ああ〜〜、ハリー。それはやってはいけない事だよ〜。
散々自分もこれで苦しめられたくせに〜!

そこまでしてハーマイオニーの心の中を見たい理由なんて
自分がハーを好きだから・・・って事には
気付きもしないハリー君です。