The body heat 1

失格になることはわかっていたけれど・・・。 彼女が僕に与えられた ”取り返すべき、一番大切なもの” じゃないことはわかっていたけれど・・・。 でも気がついたら僕は、彼女の手を取って、 深い湖の底から這い上がろうと必死にもがいていた。 彼女を助けたい一心で。 トライ・ウィザード・トーナメント。 第2の課題。 与えられた課題は、自分が一番失いたくない大切なものを 湖の底から救い出すことだった。 4人のチャンピオンに1人ずつ。 僕にはロンを助けるという使命が与えられ、 無事それを果たすことができたんだ。 だけど・・・。 ロンを湖の底から水面へと押し上げると、 僕は又一目散に湖の底へと戻って行った。 蝋人形のように真っ白な顔をして、水中に漂っていたもう一人の親友。 ハーマイオニーのことが頭から離れなかったからだ。 ハーマイオニーを助けなくてはいけないのは、クラムだった。 だけど、制限時間ぎりぎりになってもクラムは現れなかった。 マーピープルからは人質は一人だけ助けるようにと 槍で脅かされてはいたが、 この時の僕は冷静に考える事が全く出来なかった。 (早くしないとハーマイオニーが死んでしまう・・・!) そんな思いだけが僕を突き動かしていた。 だけど既に、ギリウィードの効力は消え去り、 水面は遥か彼方で、 酸欠状態で目が霞んでいた。 制限時間もとうに過ぎ、 僕はハーマイオニーの体を抱いたまま気を失ってしまった。 ********************** 凍てつくような寒さと、頬に当たる雨で目が覚めた。 ・・・ここはどこだろう? 今まで見たことのない風景が広がっている。 既に日は暮れていて、夜の帳が落ちかけていた。 横にはハーマイオニーが横たわっている。 ・・・ああ、そうか。 第2の課題の途中だったんだ。 よかった。 彼女を見失わなくて・・・。 「ハーマイオニー!ハーマイオニー!?」 彼女の体を強く揺すってみたが目を覚ます気配がない。 湖の底で見た真っ白な彼女の顔が、更に白くなって 本当に死んでいるかのように見えた。 どうしよう・・・。 体温がどんどん下がっていく。 このままじゃ冗談ではなく本当に死んでしまう。 ホグワーツに戻りたくても、ここからではその影すら見当たらない。 きっと城では大騒ぎになっていることだろう。 でもきっとダンブルドアが僕たちの居場所を見つけてくれるはずだ。 とりあえず体を温めて、その時まで待とう。 そう考えて僕はハーマイオニーを抱き上げ、 どこか、風と雨を避けられる場所がないか探してみる事にした。 濡れたローブが体にまとわりつき、容赦なく体力と体温を奪う。 雨は容赦なく降り続いて、視界さえも奪っていく。 それでも僕は必死に彼女に呼びかけ、 覚醒させようと頬を叩いたり、体を揺すったりを続けていた。 しばらくすると森の中で、一軒の古びた小屋が目に入った。 明かりはなく、誰も住んでいる様子はない。 きっと禁断の森から続いているはずなので、 この小屋もハグリッドか誰かが使用していたに違いない。 そう都合よく解釈すると、 僕はハーマイオニーを抱きかかえたまま、足で扉を蹴って中に入った。 室内はガランとしていて、朽ちかけた木のテーブルと 二脚の椅子が無造作に転がっているだけで何もない。 小さな暖炉はあるものの、薪は一本も見当たらなかった。 ベッドはおろか毛布も、体を拭けそうな布も、何一つ備わっていない。 「くそっ!」 僕は一人悪態をついて、どうしようかと頭を抱えた。 とりあえずハーマイオニーをなんとかしなくちゃ。 そういえば前に彼女、服を乾かす魔法を使っていたっけ・・・。 ひょっとして僕にもできるんじゃ・・・、って呪文を知らないじゃないか! そうだ! 暖炉があるんだ。 何か燃やせるものを探して、服を乾かそう。 僕は埃だらけの床に「ごめんね・・・。」と言って そっとハーマイオニーを下ろすと、何か燃やせる物はないか探してみた。 作りつけの棚が、壁一面に設えてあったが何もない。 とりあえず、小屋にあった二脚の木製の椅子は燃やすことにした。 杖を振ってバラバラにし、火をつける。 明るくなった室内にホッとため息が出る。 僕は急いでびしょ濡れのローブを脱ぎ、 着ているものを一つ一つ床に並べた。 下着一枚になったところで・・・、 ・・・ハタと気がついた。 彼女はどうする? どうするって・・・、濡れたままでいいわけはない。 かといって僕が脱がせていいわけでもない・・・よね? でも・・・、こんな事を悩んでいる間にも、 濡れた衣類は彼女からどんどん体温を奪っていく。 決断するしかないだろう。 彼女の生命の危機だ。 躊躇っている場合ではない。 「あとでいくらでも叱ってくれていいから・・・。  ごめんね、ハーマイオニー・・・。」 そう言って、僕は彼女のローブのボタンに手をかけた。         MENUへ               NEXT  


-------------------------------------------------------------
まだ友達と呼んでいる頃に、こんなシチュエーションになったら
ハリーはどう行動するのかなあ・・・と思いまして。
しかも4年生だから14歳!!??
目覚める頃ですなあ・・・。(遠い眼)
-------------------------------------------------------------