Two ways of love 1
「おい!おい、ウィーズリー!」 振り向くと、なるべく会いたくないと思っている あのドラコ・マルフォイが僕を呼んでいた。 チッ、なんだよ・・・。 本人には聞こえないように小さな声で舌打ちをして振り向いた。 「何か用かい?」 「用がなきゃお前のことなんて呼ぶか!」 相変わらず嫌な奴だ。 「で・・・、なんだよ。」 「そろそろ僕たちの仕事の時期だ。」 「・・・・ええ〜〜!? もう、そんなになるの〜?」 「ああ。 で、どうする。 今回はお前がやるだろ?」 「やらないよ〜。 マルフォイ、君に任せるから・・・。」 「ふざけるな! 前回だって僕がやったじゃないか!」 「1回だけだろ? 僕はその前に、既に2回ほどやってるんだから・・・・。 遠慮しないでこのままずっとやってくれていいからね。」 「そうはいくか。 今回はお前と二人でやれと言われてる。」 「何の陰謀だよ! 誰がそんな事言ってるんだよ〜。」 「出来れば僕だってやりたくない。 で?何かいい手はないか?」 僕の質問をあっさり無視して 話をどんどん自分のペースで進めていく。 こういうところが苦手なんだよ。 廊下の陰で、普段ほとんど一緒にいることのない僕達が 本意ではないが怪しい相談をしていた。 お互いそれぞれに違った意味で目立つので、 廊下の陰に隠れる意味などほとんどない。 何人かの生徒が不思議そうな顔をして振り返る。 僕はなるべく目立たない方へと彼を促し、 諦めたように口を開いた。 「う〜ん。ないことはない けど・・・。」 「思わせぶりな言い方だな・・・。」 「いや、僕の勘違いって事もあるから、 慎重に話してるだけだよ。」 「・・・・。 じゃあ、それでいこう。決まりだ。 後はよろしく頼むぞ。」 そう言ってその場を立ち去ろうとする彼の手を慌てて引っ張った。 「!痛いじゃないか!」 「ちょっと! まだ何も話してないだろう!? 自分ばっかり逃げようなんて、そうはいかないよ。」 「じゃあ早く言え。」 何様だよ、まったく。 何で僕がこいつと、カウント・アップのネタを提供しなきゃいけないんだよ。 でもここのサイトの管理人に逆らうと、 今後ここから締め出されてしまう事は必至だからなあ。 ただでさえ登場回数が少ないんだ。 仕方なく僕は、今自分が握っている とっておきのネタを マルフォイに話して聞かせることにした。 「・・・・で?その部屋に行けばわかるんだな?」 「ああ。」 「じゃお前が行って確かめて来い。」 「二人でやらなきゃ意味がないだろ? 君だって二人にリベンジしたいって言ってたじゃないか。 みんなの前で宣言してただろ?」 「・・・・。」 マルフォイは悔しそうな顔をして僕を睨みつける。 「さあ、ここからは協定を結ぼう。 どうせやらなきゃいけないんだから、 ここはひとまず協力して、早く終わらせるに限るよ。」 「わかった・・・。」 諦め顔でマルフォイは呟いた。 かくして、普段仲の悪い二人が、 普段めっぽう頼りないロンの主導権で、 何やら怪しい行動をおこしはじめた。 **************************************** 「あ、ハーマイオニー、おはよう!」 「ハリー!」 そう言ってとびきりの笑顔で ハリーのもとに駆け寄るハーマイオニー。 そしてお互いもどかしそうに顔を赤くしてモジモジしている。 「・・・あ、髪が跳ねてる・・・。」 赤い顔でハリーの前髪をそっと撫ではじめた。 「・・・ありがとう・・・。」 さっきよりもっと赤くなって、 一度は上げた自分の右手を、ぎこちなく引っ込めながら ハリーは囁いた。 ??? ・・・っていうかさ。 ハリーの髪が跳ねてない日はないだろう? 今更何言ってんの、ハーマイオニー。 な〜んかお互いに、こう、ぎこちない。 それはハリーの第2の課題が終了した辺りからだった。 微妙に二人の距離が、前と違って見えたんだ。 とっても近くなってる感じがするのに、 お互い遠慮してそれ以上近づこうとしない。 ただ顔を赤くして、お互いに触れたそうにモジモジしてるだけ。 目を泳がせて、でも嬉しそうに・・・。 こういうの、もどかしいって言うんだ。 僕はこの違和感がどこからくるのかわからなかった。 だからマルフォイにも自信を持って言う事は出来なかったのだ。 だけど、このサイトのどこかに、秘密の部屋が出来たという噂もあって、 (どうもその部屋が出来たらしい頃から、二人の様子が変わったので) この真相を突き止めたくなったのだ。 僕はぎこちない二人に わざとらしく背を向けて背伸びをした。 そう。 これが合図。 僕が目を離した瞬間、もう一つのグレーの目が二人を監視する。 よし。 ひとまずこれでいいだろう。 「さーて、朝めしだ。」 そう言いながらマルフォイに目をやると、 小さく右手の親指を立てていた。 「ねえ、ハリー・・・。 なんだか最近ロンの様子が変じゃない?」 「うん・・・。僕もそう思ってたんだ。 何か隠し事をしてるような感じだよね。」 「それにね・・・。 この頃しょっちゅうマルフォイと一緒に、 夜になるとコソコソとどこかへ出掛けてるみたいなの。」 「マルフォイと・・・?」 「ええ。」 「じゃあ今頃ロンはマルフォイと・・・?」 「・・・多分・・・。」 夕食が終わり、グリフィンドールの談話室で ハリーとハーマイオニーは 最近様子のおかしい親友の事について話をしていた。 自分たちの様子がおかしくて、 もう一人の親友が嗅ぎまわってる事なんて 気づいてもいない。 「じゃあ今夜は止めておく? ・・・あ、その・・・ 二人きりになるのは・・・。」 「途中でバッタリ会っちゃうかしら・・・。」 「いや、会うのはいいんだ。」 「じゃ、なに?」 「・・・・もし、二人の見ちゃいけないものを見ちゃったら・・・ どうする?」 「ハリー!! 変なこと言わないで! ロンが・・・ロンが・・・ マルフォイと付き合ってるってこと?」 「男同士の恋愛だってあるさ。」 「・・・まさか・・・。」 とんだ勘違いをしている二人だった。 ロンに聞かせてやりたい。 でも聞かせたらきっとこの役は二度とご免だと 言われてしまうだろう。 だから私(くう)は黙っていることにした。 二人はしばらく黙ったまま見詰め合ったが、 どちらともなく微笑んで、手をつなぎ合う。 「その時はその時ね・・。」 「うん、行こう。ハーマイオニー・・・。」 こうして二人は、忍びの地図を手に 透明マントをかぶって、夜の廊下へ消えていったのである。 →(ドロン(?)Ver.) →(ハリハーVer.) (こちらのハリハーVer.は裏部屋にあります。ここからは飛べません。) Art by Lozzy_babe06 ========================================================================= 祝!15000HIT!! ちょっと頑張って、裏部屋と微妙にリンクさせて作ってみました。 こちらだけ読んでもよし、あっちと合わせて読んでもよし・・・です。 ついでに裏部屋にある1番最初に書いたお話から、 今回の話は続いてる・・・って設定です。 メインはこっちのドロン(?)編です。ハリハーVer.はおまけvv =========================================================================