Two ways of love 2

今は使われていない教室で、 赤毛の少年とプラチナブロンドの少年は 額を突き合わせてコソコソ話をしていた。 「・・・で、お前が目を離した瞬間、  二人は両手を握りしめて見詰め合ってたというわけだ。」 「へ〜え。  やっぱりね・・・。  お互い付き合い始めたことは、疑いようもないね。」 「ああ。  今はどうしてた?」 「さっき僕が出てくるときは談話室にいた。  でも、これからなんだよ・・・。  二人が行動を開始するのは・・・。」 マルフォイはその言葉を聞いて顔を赤くする。 「な・・なんの行動  だ?  し、しかも・・・、こんな時間に・・・。」 ・・・? 「なーに赤くなってるの?」 「バ、バカ言え!  赤くなんてなってない!!」 「そおか〜?  僕なんて慣れちゃったよ。  君もそのうち慣れるから大丈夫だよ。」 慣れたくないし、今後こんな事をするのは嫌だ・・・とぶつぶつ言っている。 案外、純情な奴なのかもしれない。 顔を真っ赤にしてかわいいじゃないか。 ・・・・って! マルフォイごときに何言ってるんだ、僕は! 「さて、そろそろ10時を回る。  その例の部屋へ行ってみる?」 「本当にいるのか・・・?  あの二人は・・・。」 「ん〜〜。多分ね。  自信はないけど、あの部屋が出来てから二人が変わったのは確かだし。  おそらく期待してるものが見れるはずだよ。」 「期待してるものーーーー?  なんだ、ポッターの裸か?」 へっ? とんでもない台詞を聞いてしまった様な気がするんですけど・・・!? 「はあ?  ハーマイオニーの裸とか言うんじゃなくて、  ハリーの裸が君の期待してるものなの?  あぶない趣味だね、マルフォイ・・・。」 「ち、ち、ちがう!!  そういう意味じゃないだろ!!」 動揺しまくりのマルフォイは、いつものマルフォイじゃなかった。 なんで動揺してるんだろう。 自分の胸に秘めて誰にも話していないことがあって、(10000打お礼SS参照・笑) それを僕に見透かされてしまった為に、激しく動揺しているみたいじゃないか。 ・・・・。 「まあ、どっちでもいいよ。  確かにハリーは色っぽいからね。  気をつけろの警告は無駄だったってことか・・・。」 「だから!ち が う ん だ!!」 そう叫ぶマルフォイは僕の胸ぐらを掴んで必死だった。 その頃、ハリーとハーマイオニーは・・・。 「いたいた。  見て、ハーマイオニー。  こんな所に二人でいるよ?」 例の部屋に先に着いていた二人は、 忍びの地図上に浮かぶロンとマルフォイの名前を 使われていない教室で発見した。 「・・・ほんとだわ・・・。  何してるのかしら。」 「随分くっ付いてるようだよ。  二人の名前が重なり合ってる。」 「じゃあ、さっきのあなたの言ってた事は、もしかして・・・。」 「うん。そうかもね。」 ハーマイオニーは心底ショックを受けた様な顔をした。 「ロンにそっちの趣味があったなんて・・・。」 「しかも相手はマルフォイだしね・・・。」 「どんな事を・・・してるの・・・?」 「え?  ぼ、僕に聞かないでよ、そんなこと!」 二人で真っ赤になって下を向いた。 「ハリー、男同士の恋愛はあり・・・って言ってたでしょう?  本当は詳しいんじゃないの?」 「く、詳しくなんてないさ!  なんで・・・なんで僕が詳しいのさ・・・。」 疑うような目で見るハーマイオニーに、ハリーはカチンときた。 「僕にもそっちの趣味があると思ってるの?」 「そうじゃないけど。  でもあなた綺麗だから、男の人だってほっとかないと思うわ。」 「バカ言うなよ。  僕は男になんて興味ないから・・・。  ・・・あるのは・・・。」    * * * 「あるのは、なんだよ!?」 「シーっ!静かにしろよ、マルフォイ・・・。」 やっとのことで辿り着いた例の部屋の扉に、 真っ先にかじり付いたのはマルフォイだった。 中の二人の会話も途中からしか聞いてないのに、 すかさず突っ込みを入れている。 「マルフォイ、悪い事は言わないから・・・、  ハリーは諦めた方がいいと思うよ。」 と、冗談交じりで言ってみた。 すると、 「うるさいっ!  お前には関係ないだろう!」 と怒鳴られてしまう。 あーあ。 無意識に認めちゃってるよ。 僕、半分冗談で言ったのになあ・・・。 なんだかこれ以上ここに居させるのは可哀そうになってきた。 もし本気なら、マルフォイに勝ち目はない・・・と思う。 「もう充分証拠はつかんだし、  後は僕がやるから君は寮へ戻れよ・・・。」 「・・・・。」 「ねえ、聞いてる?マルフォイ。」 「・・・ウィーズリー・・・。  なんか・・・やってる。」 「え?」 「だから!中で二人が何かをしてると言ってるんだ!」 白い顔を真っ赤にして、今にも泣き出しそうな顔で マルフォイはその部屋の中を顎で促した。 そりゃ・・・、やってるかもね。 その為にこんな時間に人目を盗んで来てるわけだし、 さっきからハーマイオニーの甘〜い声が聞こえてきてるし。 こんな所へ来る目的は一つしかないだろう。 「見てみるかい?」 「え?」 「勇気があるなら。」 僕は肩をすくめながらそう言った。  「でも、君は止めておいた方がいいかもね。」 意味ありげに横眼でチラッとマルフォイを見ると、 歯を食いしばって、何かと必死に戦っているように見えた。 案外嘘をつけないタイプかも・・・。 「いや。見る。」 決心したかに様に、マルフォイはそっと扉に手をかけた。 中で喘ぐ二人の声が、急に大きく聞こえる。 思わず二人、ごくりと唾をのむ。 僕たちがこうしてこっそり盗み見ているなんて事は、 まったく気づいていないようだった。 しばらくジッと中の様子を見ていたマルフォイは、 静かに扉から離れると、ふう・・・っとため息をついた。 「マルフォイ・・・?」 「初めて見た。」 「・・・そりゃそうだろ?  こんなのそう何回も見るものじゃないぜ?」 「違う。  あんな幸せそうなポッターの顔を見るのは、  初めてだと言ったんだ。」 「え?」 「愛し合ってるんだ・・・。  あの二人・・・。」 「あ、ああ。」 「グレンジャーを見つめるポッターの眼は・・・  何ていうか、  本当に愛しい人を見つめる目だったよ。」 「ずいぶんしっかり見たんだね・・・?  だったらハリーなんかより、ハーマイオニーを見た方が  目の保養になると思うけどなあ・・・。」 「ちゃかすな!」 「・・・ごめん。」 マルフォイの表情はどこか憂いを帯びていた。 もしかして、本気でハリーのことを・・・? 「マルフォイ、君・・・。」 「さて、僕は帰る。  ウィーズリー、お前はどうする。  まだしっかり見てないだろう?」 「僕も帰るよ。  二人がどうしてぎこちなかったか、これではっきりしたからね。」 「認めてやるのか?」 「え?そりゃそうでしょー。」 「お前、グレンジャーのこと好きだったろう?」 僕は否定しようと思ったけど、やめておいた。 ここで違うと言うのもズルい気がしたし、 それにさっきのマルフォイの表情を見てしまったせいかもしれない。 「ハリー相手に競うつもりはないよ。  僕はハーマイオニーが幸せならそれでいいんだ。」 「あっさり肯定するんだな。」 「君を見てたら、なんとなくね・・・。」 そんな僕のセリフに、マルフォイも否定はしなかった。 ちょっぴりほろ苦い今回の追跡。 こんな無粋な真似は今回限りにしておこう。 「元気出せよっ、マルフォイ!」 「元気だよ、僕は。」 「僕がついててやるからさv」 「気色悪い事を言うな。遠慮する。」 「つれないね〜。」 「だまれ!少し離れて歩け。」 「ド〜ラ〜コ〜。」 「お前に名前で呼ばれる筋合いはない!!」   寮へ帰る道すがら、じゃれ合いながらも僕とマルフォイの腕は 知らず知らずお互いの肩を組んで歩いていた。 それぞれの思惑が交差するホグワーツの夜の廊下。 例の部屋の扉の横の、動く肖像画の一人がポツリとつぶやく・・・。 「扉はしっかり閉めてくれんと、  うるさくて眠れやしない・・・・。」                      END        Art by lozzy_babe06 ========================================================================= いつもとはちょっぴり違ったカウント・アップお礼SSでした。 扉の向こうでハリーたちが何をしていたのか・・・・? そちらの様子は”BODY HEAT”でどうぞ。 皆様のおかげで15000打を達成することができました。。 本当にありがとうございました!! これからも”TRUE LOVE”を宜しくお願いしますvv =========================================================================