Do not go

ハーマイオニーがクラムと約束をした休日。 その日の午前中は3人でホグズミードへ買い物に出かけた。 約束は午後だからと言って、ハーマイオニーも一緒だった。 3人でランチを取っている時のこと。 「ねえ、ハーマイオニー、約束は何時なの?」 「ロンには教えない。  あなた私をからかうもの。」 「からかったりしないよ。」 僕は聞きたくもなかったが、それでも気になっていたので、 「いいじゃないか。  僕たちだってクラムを一目みたいよ。  クイディッチのスーパースターに会える機会なんて  めったにないんだからさ。」 と言ってみる。 久しぶりにハーマイオニーに話しかけた。 今まで自分でもわかるくらいに彼女を避けていたからだ。 そんな急に話しかけた僕に驚いたような顔をして それでも素直に質問に答えた。 「3時よ、ハリー。」 「・・・そう。」 「・・・で?  夜は帰らないつもりなの?」 「・・・・。」 「ハリー、いいじゃないか。  ハーマイオニーとクラムの自由だろ。」 「まだ、わからないわ。  クラムの都合もあるし、  でも、ジニーが気を利かせてくれて、一泊の予定で部屋をとってくれたわ。」 ジニーの奴。 余計な事をしやがって・・・。 どうして女の子ってそうなんだろう。 どうしてすぐにステディな関係になりたがるんだ・・・? 僕は本当に理解できなかった。 確かに好きな女の子とは一緒にいたい。 朝まで一緒に同じベッドで、ずっと話していたいよ。 でもそれは決していやらしい意味なんかじゃない。 少なくとも僕はハーマイオニーと一緒にいたくても そう言う事をしようとは思ってもいない。 ・・・・? あれ? どうしてハーマイオニーが出てくるんだろう。 ここはジニーが出てくるべきだろう。 ・・・・? でもジニーとは自分の想像の中だけで あんな事やこんな事を想像していたし。 あ、そうか。 同じ好きでも、恋人と親友じゃ求めるものが違ってくるのか・・・。 ハーマイオニーは親友だから、不埒な考えを起こすわけがない。 でも。 ハーマイオニーが他の男と体の関係を持つ事は考えられない。 どうしたっていやだ。 体の関係どころか、朝まで一緒に過ごされるのも絶対に我慢できない。 あの愛らしい少女のような笑顔を守りたい・・・。 それだけなんだ。 3時近くになって僕たちは別行動になった。 最後まで僕はハーマイオニーの顔を見る事ができなかった。 「ロン。  僕も今日はこれから約束があるんだ。  これで行くけど・・・。」 「あ、うん、いいよ。  僕はシェーマスたちともう少し遊んで帰るよ。  なんだ?ジニーとデートかい?」 「いや、今日は違うんだ。」 「そうか。  じゃ、また夜にな。」 「ああ。悪いな。」 ロンは余計な事を一切聞かず、黙って去っていった。 もしかしたら僕の考えていることを分かっていたのかもしれない。 最後に彼がつぶやいた、「無茶するなよ。」の一言が それを僕に感じさせた。 そう。 僕は、この期に及んでもまだ、彼女を止めたかったんだ。 デートするのはいい。 明るい日の下で愛を囁き合うことだって我慢する。 でも、それ以上は許せない。 勝手かもしれないけれど、僕にそんな権利はないかもしれないけれど 絶対に止めてやる。 僕は自分の手のひらで両の頬をピシャッとたたくと、 ジニーに書いてもらった地図を頼りに、 彼女がクラムと待ち合わせているコテージへと向かった。 そのコテージは鬱蒼とした木立の中に建つ、本当に小さなコテージだった。 だけど変に気取ったところのない、温かみのある可愛らしい外観だ。 ハーマイオニーにぴったりな場所だな・・・。 これから訪れるであろう修羅場の事は忘れて そんな事を考えながら小さく微笑んでいた。 フロントで彼女の泊まる部屋を確認して、その隣の部屋にチェック・インした。 部屋の中もとても素朴で、太陽の匂いがした。 きれいに磨き上げられたフローリングの床に、 決して豪華ではないけれど、ベージュのシンプルなラグが敷いてある。 ベッドもカーテンも真っ白な木綿の生地でシミ一つない。 「こんな所でハーマイオニーと話がしたいな・・・。」 ジニーじゃなくて、頭の中に浮かんだのはハーマイオニーだった。 彼女は僕にとって空気みたいな存在なんだ。 ジニーとは確かに一緒にいて話をすれば楽しいし 大好きだと思う。 でもハーマイオニーは話なんかしなくても、それだけで居心地がいい。 そこにいてくれるだけで、温かい存在。 でも、今はそれだけじゃない事に気が付いていた。 ハーマイオニーの事を考えていると、心臓がドキドキしてくる。 胃の上のあたりが何だかモヤモヤとしてくる。 こんな事初めてだ。 ここに来て初めて感じた、自分の心の変化。 でも僕はそれを恋だとは認めたくなかった。 あくまでも恋人はジニーだと思いたかった。 それほどまでにハーマイオニーを汚したくないと思っていたなんて この時の僕は気付いてもいなかった。 しばらくすると隣の部屋のドアが回される音が聞こえ、 自分の体がこわばるのを感じる。 ここに僕がいる事なんて、隣の二人は知らない。 でもなぜか息をひそめて、そっと壁に近づき耳をそばだてた。 ・・・泊るつもりで来たんだろうか? それともちょっと休むだけとか・・・。 二人が何を話しているかまでは分からなかったけれど、 それでもその声が、ハーマイオニーとクラムであることは何となく理解できた。 すると途端に僕の機嫌が悪くなる。 いいコテージだって褒めたばかりだけれど、 なんだよ、隣の部屋の声が筒抜けじゃないか・・・。 こんなコテージに恋人と二人では泊まりたくない。 時々大きな笑い声が聞こえる。 馬鹿じゃないのか・・・。 こんな所で大騒ぎしてるんじゃないよ。 僕はあんまり腹が立ったので、自分が身を寄せている壁を 拳で思いっきり叩いてやった。 ドンッ!! すると急に笑い声が止んだ。 ・・・・僕、なにしてるんだろう・・・。 急に惨めになって、バカバカしくなってきて、 白い木綿のカバーが掛かっているベッドに、ドサッと身を投げた。       


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ハリー、いくら気になるからってこれじゃストーカー行為だよ。(泣)

おっかしいなあ。
最初はハーマイオニーがハリー達を邪魔する話で書いてたんですが・・・。
いえいえ、これからなんです。
ハリーが邪魔しているようでいて、実はこれ、
ハーマイオニーが邪魔してるんですよっ。
3話で終わらなかった・・・。すみません、もう少しお付き合いくださいませ。
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