Substitute

僕の名前はルパート・グリント。 カウント・アップお礼SSときたら、僕しかいないだろう。 あ、前回はロンとして君達にとっておきの秘密を暴露したんだっけ? だから今回もこの僕の登場で、君達の期待がぐぐ〜〜んと上がったと思うんだ。 そうだろ、そうだろ。 いやあ、今回も期待は裏切らないと思うよ? 今回の秘密は、極秘も極秘。 トップ・シークレットってやつなんだぜ。 この秘密を君達に喋った事がばれたら、おそらくロン役は降ろされ、 もっと恐ろしい事に、あのエマ・ワトソンには半殺しの目にあうだろう。 だからさ、ここで得た情報は決して人に話して貰っちゃ困るんだ。 わかったかい?頼んだよ? エマが映画の続投を渋ってたのは、周知の事実だ。 一部の人からは、どうもハリーと結ばれそうにない事が原因だって言われてるらしい。 何だよ。僕じゃ不満って事かい? ちっ!やってらんないよなあ・・・。 まあ、いいや。今はそんな事はどうだっていい。 ところがさ、急に契約書にサインしたんだ。 びっくりしたよ。 だって本当にエマは続投に対して悩んでいたようだし、 下手すればハーマイオニー役は変わると思ったくらいだからね。 さあ、ここからが重要なんだ。 なぜ、急にサインしたと思う? なんとエマは映画を続投する代わりに、とんでもない交換条件を出したんだ。 誰もこんな事考え付きっこないっていうような、交換条件をね・・・。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 「ダン、午後はキスシーンの撮影だぞ。気合入れてくれよ?」 「ああ、監督・・・。  気合って・・・・、どんな気合を入れりゃいいんですか?」 ダンは勘弁してくれという顔で監督に向き合った。 「いやいや、なに。  君と彼女は既に恋人同士と聞いてる。  いつも通りみんなを興奮させてくれればいいんだ。」 「僕が彼女にキスするわけじゃないでしょう?  キスするのは、ハリーなんだから・・・。」 「まあね。でもこのシーンは映画の宣伝にはもってこいだよ。  期待してるよ、ダン。」 「はあ・・・。」 何だよ、何だよ。 これからキスシーンの撮影だっていうのに、浮かない顔しちゃってさ。 だから冷やかし半分に僕はダンに声をかけた。 「おい、調子はどうだい?準備はOKかい?」 「やめてくれよ、ルパまで・・・。」 「何をそんなに浮かない顔してるのさ。  別に普段どおりキスすりゃいいだけの事だろ?」 「普段どおりにできないから悩んでるんじゃないか・・・。  こんな大勢のスタッフの中で、本当の恋人とキスできるかい?」 「ばかだなあ・・・。  トム・クルーズなんて前の奥さんと濃厚ラブシーンまで演じてたぜ?  プロならやれるだろう?」 わけのわからない慰めを言ってやった。 「僕はまだ17歳だよ?  そんな割り切った事できないよ。」 「まあ、期待してるからさ。  僕も君達二人のキスシーンが見られるなんて思ってもいなかったから、  すっごく興奮してるんだ。変な想像させないでくれよ?  あくまでもナチュラルに・・・。」 「だったら君に代わってやるよ!  僕の相手が彼女でいいなら、僕の代わりを君がやったって問題ないんだから・・・。」 おっと、ここで注意してもらいたい事がある。 ダンの彼女って・・・ケイティだと思ってないよね? ダンの彼女は、みんなも知ってる通りエマだ。 あ・・・、これもトップ・シークレットだったっけ・・・。 ・・・・ま、いいか。 で、なんでハリーとチョウのキスシーンなのに、 ハーマイオニー役のエマが出てくるかって? しかも、そのハーマイオニーとハリーがキスするみたいに。 いやいや、これがエマの出した条件ってやつなんだよ。 今の映画の技術って、ものすごく進んでいるのは君達も知ってるだろ? スタントマンがあたかも俳優の様に危険なシーンを演じても、 スクリーンの上ではそれが俳優なのか、スタントマンなのか区別がつかない。 あとで簡単なCG処理を施せば、ほとんど俳優がアクションしてるようにしか見えないんだ。 だから、ハリーとチョウのキスシーンだって、大体背格好の似ている人が代役でやれば、 あとからいくらでも修正できて、他の人がやってるなんてわからないんだよ。 午後になって現場に入ると、さっきの様子とは180度違ったダンがエマと談笑していた。 エマはレイブンクローの制服に身を包んでいる。 「おいおい、さっきとは随分様子が違うじゃないか?」 わざと怪訝そうな顔で二人の前に立ち、腕を組んだ。 大方さっきまでの休み時間を利用して、キスシーンの練習でもしてたんだろう。 いつもの精悍な顔立ちはどこへやら、ダンの表情はゆるみっぱなしだった。 「なあに?ルパ。冷やかしに来たんだったらあっちに行って頂戴。  今私たちはこれからのシーンを控えて、とってもナーバスになってるんだから!」 「ナーバス?これのどこがナーバスなんだい?」 ダンの表情を見る限り、これから撮るシーンが楽しみで仕方が無いって顔してるし。 「まあ、せいぜい本気にならないように注意してやってくれよ。  こんな所でダンが君を押し倒したりしたら洒落にならないからね。」 「余計な心配だよ、ルパ。  そんな事にならないように、さっき十分押し倒してきたから。」 冗談なんだか本気なんだかわかんねえよ! こういうのをバカップルって言うんだ。 覚えといて。 「よ〜し、ダン、エマ!撮影始めるぞ!」 イェーツ監督の声で、みんなそれぞれの持ち場へついていく。 その間も二人はいちゃいちゃ、べたべた・・・。 こいつら・・・、本当に僕の友達なのか・・・? 「アクション・・・!!」 見詰め合うダンとエマ・・・。 そっとダンがエマに近づいていく・・・。 ・・・そして・・・キス・・・。 いやあ、こうして見るとやっぱり二人はお似合いだ。 とっても綺麗なキスシーンだ。 ・・・・。 長い・・・。 長いだろ・・・。 ハリーはファーストキスのはずだ。 もっとぎこちなくていいはずなのに、ダンはエマの唇を何度も啄ばみ、 角度を変えて更に深く繋がろうとしている・・・。 「カーーーット!」 ちょいとお二人さん、カットだってよ? なんでまだキスしてるんだい? 監督もディレクターもそれを止めようとしなかった。 ・・・・。 「ダン、エマ、そろそろいいかい?  今のキス、実によかったんだけど、もう少し・・・こう・・・、  慣れない感じでやってくれないか?  もう一回やってみよう。」 え??? まだやらせるの? 知らないぜ、監督。 後悔する事になると思うんだけど・・・? 嬉しそうに絡みつく二人を見てたら、何ともいえない気持ちになってきた。 ・・・濃厚なんだよ・・・、二人のキスが・・・。 舌、使ってるだろ?ダン。 時々離れては嬉しそうに見つめ合い、微笑を交わすダンとエマ。 あんまり濃厚すぎて、かれこれ10回はNGをたたき出している。 絶対にわざとだよな。 気付けよ、監督。 インタビューで30テイク以上撮ったって・・・、あれ本当なんだぜ。 まあ、相手はケイティじゃなくて、エマとなんだけどさ。 ケイティはキスが上手いんだ・・・なんて、みんな騙されてるよ。   可哀想なのはケイティの方さ。 ダンとキスなんてしていないのに、ダンはキスが上手だとか何とか言わされて。 次回の映画じゃ、ボニー・ライトとエマが入れ替わることになっている。 どんなキスシーンになるかはまだ解らないけれど、 どう考えたって今より濃厚なキスシーンになる事は間違いないだろう。 今回流れたキスシーンは、あれでも1番軽いやつなんだ。 監督はひどく頭を悩ませていた。 5テイク辺りからは完璧にダンは舌を使っていたし、 エマだってしっかりそれに応えちゃってたんだから。 僕は15テイク辺りで現場から離れていた。 今回までティッシュが必要になるなんて思ってもいなかったから、 慌ててトイレに駆け込んだよ。 やっと長い長い撮影が終わり、二人が出てきた。 心なしかスタッフの誰もが憔悴しきっているように見える。 「やあ、満足のいくシーンは撮れたかい?」 「ああ、ルパ。途中からいなくなったけどどこ行ってたんだい?」 君達のキスシーンで興奮してトイレに行ってたなんて、口が裂けても言うもんか。 「台本の読み合わせに・・・、ちょっとね。」 「あら、残念だけどルパ?  明日の撮影は延期よ。今日のこのシーン、監督がどうしてもOK出してくれないの。  又明日、撮り直しですって。」 まじでぇ〜〜〜!? ・・・・あり得ないだろ・・・? 監督は二人に何をやらせるつもりなんだよ!? げっそりした僕にダンは追い討ちを掛けるように言う。 「これから僕達、もう1回練習してから帰るから。」 はいはい、好きにしてください。 この時僕は、絶対にこの事をどこかでばらしてやろうと心に決めていた。 念願かなって、今回君達にこの秘密を暴露することができた。 へっへ〜〜ん!ざまあみろってんだ!! 次回作僕にもキスシーンがある。 ダンなんかに負けないように、僕のとっておきのテクニックを披露してやるぜ? だからラベンダー役、可愛い子になりますように・・・。 ふっふっふ・・・。 待ってろよ〜〜!ルパートファンのみんな!      Art by Joie ======== 祝!5000HIT!! こんなサイトにお越し下さっている皆様、 本当にありがとうございます。 文もネタもまだまだ拙いもので、こっ恥ずかしい事この上ないんですが、 それでも面白いと言って、拍手を下さったり感想を寄せて下さると、 不思議なもので、又書いちゃおう!という気持ちになるのです。 肩身の狭い私たちハリハー(ダンエマ)ですが、これからも二人から感じた絆を信じて 妄想たくましく生きてまいりませう!!宜しくお願いいたしますVV ========