A MISTAKE

やあ、元気かい? 僕の名前は・・・、 残念ながらロナルド・ウィーズリーじゃない。 がっかりしないでくれよ。 あいつは例の二人の毒気にやられて、今回この大役を辞退しやがった。 純血のくせにだらしが無い奴だと思わないか? だから今回は、このドラコ・マルフォイ様がさり気なく登場したってわけだ。 何をしたらいいのかよく解らないが、とりあえずあの二人を尾行すればいいらしい。 そして何を話して、なにをしているのか・・・。 それを君達に報告するのが、僕の役目なんだそうだ。 ふん。 くだらない・・・。 しかし、あのポッターが穢れた血のグレンジャーに どれだけ馬鹿なことをしているのか・・・、興味がないわけじゃない。 それをネタにあいつをからかう事だって出来るはずだ。 こうなったら俄然頑張るしかないだろう。 とりあえずウィーズリーの奴から預かった、忍びの地図とやらで 二人の居場所を確認しよう。 ・・・・しかし、この地図を見るだけで腹が立ってくる。 これは3年生の時、ホグズミードで散々痛い目にあったときの いわば諸悪の根源だからだ。 それを今になってこの僕が使う羽目になるとは・・・。 自分の人の良さにあきれるね。 まあいい。あの時の仕返しだと思えば気も楽だ。 さて、あいつらは何処にいるんだ・・・? 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 「ハリー?  大丈夫かしら?  こんな所に二人で来て。  もしフィルチやピーブスに見つかったりしたら・・・。」 「いや、ここにあの二人は入れないはずだよ。  合言葉を知らないから・・・。    むしろ僕達が心配しなくちゃいけないのは、  普通にここを使える立場の奴が、  こんな時間にも関わらず、ここに来た時の方だよ。」 「でもハリー?  あなたこの時間なら大丈夫だって言ったじゃない?」 「うん。  この時間になってからここを使う奴はまずいない。  だからこうして君と二人で来たんじゃないか。」 忍びの地図で二人の居場所を確認した僕は、 そっと物陰に隠れて二人の会話を盗み聞いていた。 「だけど、おっかしいんだよね。  忍びの地図が見当たらないんだ。  ずっとトランクの下に入れておいたはずなんだけどなあ。」 「えっ?地図を持ってないの?」 「う・・うん。」 「やだ・・・。めちゃくちゃ危険じゃないの!」 「大丈夫だよ。透明マントもあるし・・・。  それに君が大きな声を出さなきゃ・・・、問題ないし。」 「・・・・。」 ちょっと・・・。 こんな所でこんな時間に、何をするつもりなんだ? 大きな声を出さなきゃ大丈夫・・・って、 普通こんな所で大声を出す奴はいないだろう? 「ハリー。  わ・・・私から先に行っていいかしら?  私がいいって言うまで、ここにいてくれる?」 「え〜〜っ。  一緒に行こうよ〜。」 「だーめ。」 「どうして?」 「だって恥ずかしいんですもの・・・。」 「今更何言ってるの?いいじゃないか・・・。」 「だめよ、だめ。  言うことを聞いてくれないと、私寮に戻るわよ?」 「・・・わかったよ。  じゃ、早く呼んでよ?」 「ええ。」 およそ聞いた事も無いポッターの甘えたような声に、僕は驚愕していた。 なんだ、あのヘラヘラした声は。 ウィーズリーがこの役を辞退した意味が、少しずつ解って来た様な・・・。 さっきから物陰で会話だけを聞いていた僕は、 勇気を出して、そっと中の様子を伺って見る事にした。 すると僕の目に飛び込んできたのは・・・。 ・・・・・!!?? 白く均整の取れた美しい背中に、無数についた痛々しい傷跡。 その白と、まだ生々しく残る血の滲んだ赤い傷のコントラストが 異様なくらいに艶かしい。 ・・・そうか。 あれはつい先日、第一の課題で負った傷なんだ。 まだ相当痛いはずなのに、平静を装うポッターが健気に感じられる。 こいつに抱いたことの無い、同情のような哀れみの様な気持ちが沸き起こった。 そしてなぜか顔が赤くなる。 心臓もドキドキする。 綺麗だなあ・・・、ポッター。 ・・・・。 はっ! 何を考えてるんだ、僕は。 男の裸にときめいて、バカじゃないのか!? ・・・・? は・・・はだか・・・? なーんで裸になってんだ? いや、ここは監督生の風呂場だから、裸になるのは当然だ。 だけど、今ここにはあいつだけじゃなく、グレンジャーもいただろう? 先に行くって言ってたな? ・・てことは、先にグレンジャーも裸で風呂に入ったってことか? な ぜ ? 「ハーマイオニー?  そろそろ僕も入っていいかい?」 「ええ。  いつでもいいわよ。」 「ワオ!あらためて明るい所で見ると、  君って本当に綺麗な体をしているね?」 明るい場所じゃない所でも、 見た事あるような言い方だな、それって。 「恥ずかしい事言わないで。  ハリー・・・、だけどこの傷・・・、大丈夫?」 「ああ、これ?  痛みには慣れてるよ。   そんな事より・・・、始めよう?」 「そうね。」 何を・・・何を・・・? これから何が始まるんだ? 僕、ここにいていいの・・・? ねえ、いいのー? 「・・・あっ、ハーマイオニー・・・、そこは・・・、ダメ・・・。」 「・・・だってここを掴んでいないと、あなた・・・。」 「大丈夫。うっかりイレたり・・・しないから・・・。」 湯気で二人の姿ははっきりとは見えなかったが、 その会話は明らかに・・・、その・・・、なんて言うか、 ・・・ヤバそうな雰囲気だった。 何しろバシャバシャと水しぶきの上がる音がする。 二人で、・・その・・裸で・・・、 湯に浸かっているのは疑いようも無い。 そんな僕の動揺なんて気付きもしないで、 二人の会話は更にエスカレートしていく。 「ハリー。  もっと早く動いて?  ・・・だめ・・・、もっと早く・・・。」 「これ以上無理だよ・・・。」 「・・・あっ!痛い・・・!」 「・・・あ、ごめん。  君がもっと早くなんて言うから・・・。」 「でも・・・、もっともっと早く動いてくれないと・・・、  ・・・イケないわ・・・。」 怪しい二人の会話を聞きながら、 僕はさっき見たポッターの背中を思い出していた。 そして床にペタンと座り込むと、 その背中が上下に激しく動く様子を想像して、たまらない気持ちになっていた。 ボクモ、アノセナカニ、ウデヲマワシテミタイ・・・。 「ねえ?  ちょっと休んで・・・、いい?」 「・・・いいけど・・・。  ハリー?あなたイレっぱなしよ?」 「大丈夫。  この方が気持ちいいんだ・・・。  知ってるでしょ?」 はあはあと、二人の荒い息遣いが僕の所まで聞こえてきた。 そうか・・・。 イレっぱなしで、休んでるんだ・・・。 この時僕はグレンジャーに対して、かなりの嫉妬心を感じていた。 僕はポッターの事が・・・、好きなのかな・・・? そう言えばウィーズリーも言ってたっけ。 グレンジャーを相手にするポッターを見ていると、 なぜか不思議と変な気持ちになるって。 ポッターには妙な色気があるから、君も気をつけろと言われたんだ。 散々警告を受けてこの様だよ。 下手な意地なんか捨てて、明日は普通に話しかけてみようと そんな気分になっていた。 おかしいや。 グレンジャーとの逢瀬を盗み見て、そんな気持ちになるなんて。 しばらく休んだり、・・・したりの繰り返しだった二人が、 ようやく寮に戻る気になったようだ。 そして僕は、慌てて一つのロッカーの中に身を隠す。 タオルに包まったポッターをそっと見て、又心臓がドキドキし始める。 その背中は先ほどとは違って、うっすらと赤みを帯びていた。 そりゃそうだ。 あんなことの後だ。 体も火照っているだろう。 そしてそこで僕は、自分を張り倒してやりたくなるような会話を聞いてしまった。 「ハリー?  随分上手になったわね?  きっともう大丈夫よ!  第2の課題ではきっと上手く泳げるはずだわ。」 「うん。  君のお陰でなんとか泳げるようになってきたよ。  何しろ今まで泳ぎってものを知らなかったからね。」 「だけど傷は大丈夫かしら。  ずっとお湯の中にイレっぱなしだったでしょう?」 「それがさ、あのお湯の中には不思議な力があるみたいで、  イレっぱなしにしておくと、とっても気持ちがいいんだ。  癒しの薬でも入ってるのかなあ・・・。」 「そう?ならいいけど・・・。  それから本番では忘れちゃダメよ?  足を早く動かすこと!」 「うん。君を蹴っ飛ばしてまで習得した事だからね。  明日もう1回だけ付き合ってよ。  そしたらもう大丈夫だからさ。」 はあ? 泳ぎの練習? 今まで・・・、それをやっていたのか・・・? ・・・あんな事やこんな事じゃなくて・・・? そういえば、やけに水しぶきの音が激しかったような・・・? ・・・あ、怒ってる? いや、こんな事だってあるさ。 勘違い・・・ってやつ? き・・・、君達だってちょっとは誤解しただろう? 変なこと想像しちゃっただろ・・・? ・・・。 ちっくしょー! ドラコ・マルフォイのおおばかやろう!! ハリー・ポッターなんて嫌いだ。大嫌いだ。 この僕とした事が、なんたる失態だ! それもこれも、みーんなあのウィーズリーの責任だ。 僕に恥をかかせやがって。 こうなったら絶対にリベンジしてやる。 このままで済むと思うなよ。 このリベンジは多分15000HITで報告できるはずだ。 僕を怒らせたらどれだけ怖いか・・・、 思い知ることになるだろう。 だって僕には、 スネイプ先生と、父上と。 それからあの恐ろしい俺様帝王がついてるんだ。 後悔・・・したっておそいからな? じゃ、又その時に・・・。 GOOD NIGHT!   Art by Joie ======== 祝!10000HIT!! 気がついたら、このサイト・・・、 やおいサイトになってたりして・・・。 うふっv ご苦労様、マルフォイ。(はあと) ========