星に願いを・・・
映画の撮影が終わり、その映画が公開されて、プレミアの仕事が一段落すると、 私は普通に学校に戻って、普通の女の子としての生活を送っている。 友達と毎日会えるのはとっても素敵な事。 大好きなホッケーも、時間を気にしないで熱中する事ができる。 学校が終われば友達とお茶をしたり、映画を観たり・・・。 私は彼と違って、本格的に女優の仕事を優先しているわけではないので、 ハリーポッターが終われば、ただの普通の女の子に戻る事ができた。 だけど・・・。 彼はもう随分前から・・・、ううん、私なんかと出会う前から 俳優になるって決めていたから、プレミアが終わってもすぐに違う仕事に入っていく。 下手をすれば、ハリーポッターの撮影と同時進行なんて事もあるようだった。 最近では舞台や他の映画やらでとっても忙しそうだ。 だから私が普通の生活に戻ってしまえば、彼とはほとんど会うことが出来なくなる。 たまに雑誌の撮影や、テレビの出演も入るんだけど、 3人が揃うのは本当に稀で、私とルパだけだったり、私1人だったり・・・。 でもね、ほら。 私の携帯からいつもの決まった音楽が流れ始めると・・・。 それが唯一の私たちの繋がり・・・。 誰にも邪魔されない、二人だけの時間・・・。 アルファベットの羅列の中に、彼からの愛を感じる・・・。 「Hi、エマ。今僕は休憩時間に入ったところ。エマは何してるの?」 「Hi、ダン。私はこれからお風呂に入るところよ。今日も撮影は長引きそうなの?」 「うん。あとまだ2,3時間はかかるだろうね。エマが夢の中に入った頃に やっとシャワーを浴びれるかな?」 「大変ね。でもハリーの時もその位になる事、しょっちゅうあったから大丈夫よね?」 「いや、あの時は誰かさんがそばにいてくれただろ?今は違う。」 「大丈夫よ。あなたの撮影が済むまで、私もベッドの中には入らないわ。 終わったら今度は電話をくれる?あなたにおやすみなさいを言いたいの。 ・・・ベッドの中のあなたに・・・。」 「・・・ありがとう、エマ。」 「ううん。じゃ後でね・・・。」 彼からのメールの着信音は、大好きなディズニーの映画からで "星に願いを" 。 この曲が流れれば、いつだって彼からのメールだってわかる。 とっても幸せになれる、大好きな曲。 こうやって彼は、いつも私にメールで近況を知らせてくれる。 今はまだ付き合っているわけではないし、はっきりとそう言いあったこともない。 好きとか、愛してるなんて言葉だって、お互いに口にした事はなかった。 それはお互いが口にしなくても、今はそれを言ってはいけない時だってわかっていたから。 インタビューで彼とのことを聞かれても、私たちは堂々と「友達だ」と答えることができた。 だってそれは本当の事だったから。 もし本当は恋人同士だったら、私たちは嘘をついてる事になるでしょう? それはいやだったの。 だから二人で決めたのよ。 「これから先、君との関係に関しては絶対に嘘はつきたくない。」 そう言ってくれた彼に対して、私は本当に愛されている事を実感したの。 だから友達でいようって決心した。 彼が嘘つきにならないように・・・。 深夜2時。 携帯から大好きな "星に願いを" が流れた。 どんなに遅くなっても必ず約束は守ってくれる。 「Hi、エマ。遅くにごめん。やっと撮影が終わって今ベッドの中にいるんだ。 あんまり遅いんで寝てると悪いと思って、電話は遠慮させてもらったよ。 君の声が聞けなくてとっても残念だけど。 おやすみ、エマ。明日もメールするからね。」 ばかね。 声を聞きたいのは私のほうなのに・・・。 だからどんなに遅くたって、ずっと起きていられるのに。 メールにそんな返事をしようと思って、・・・やっぱり手を止めた。 そしてダンの携帯の番号をプッシュする。 そう、大好きなあなたの声を聞くために。 大好きなあなたを近くに感じるために。 そしてたった一言、「おやすみなさい。」を言うために・・・。 ======== 多分付き合ってないんでしょうけれど、 お互い好き合ってはいるでしょうね? でも、まだ若いんだし、いろんな人とお付き合いをして 最後に「やっぱり彼(彼女)が好き!」と言えたら最高です。 ・・・これってハリハーにもいえますねえ・・・。 ちなみに"星に願いを"は私の大好きな曲です。 携帯の着信音にオルゴールバージョンで入ってるんですが、 欠点は優しすぎて聞こえないって事です。(><) ========