A PRESENT

「ちょと、エマ!!なんだよ、その格好は!?」 「え?何か変?」 「変だろ〜、これは。  どうしてこの黒いドレスにスニーカー履いてるんだよ?」 「だって・・・、今日はあなたと一緒に写真を撮られる日だもの・・・。」 「この間の試写会の時だってハイヒール履いてたじゃないか?  どうして今日はだめなんだよ?」 「この間はあなた、来ないかと思ってたんだもの。  次に日に日本のプレミアだったでしょう?  あなたのスケジュールには、その日は出席しないって・・・。」 「ああ、あれは急に予定が変更になって、ロンドンの試写会に出てからでも  間に合うって事になったんだよ。」 ずっと前からそうだったけれど、エマは僕と写真に写る時は 必ずと言っていいほど、ヒールの高い靴は避けていた。 ・・・というのも、僕の身長がエマとあまり変わらなかったからで、 そんな僕に彼女はとても気を使ってくれていた。 嬉しかったけれど・・・。 そりゃさ僕だって男だから、好きな子との写真くらい格好良く映りたいさ。 でも彼女がヒールの高い靴が好きって事くらい、僕にだってわかっていたんだ。 「いいから!もっと違う靴はけよ。」 「他に何も用意してきてないわ。  いいの、これで。私が決めたんだから!」 「じゃあ・・・・、ちょっと待ってて。」 僕は急いで自分の控え室に戻った。 そして一つの紙袋を無造作につかむと、又エマの控え室へと走った。 そして荒々しくドアを開けるとエマに向かってその袋を差し出す。 「これ・・・。」 「・・・なあに?」 「いいから!開けてみなよ。」 不思議そうに紙袋をガサゴソと開けるエマ。 「ダンっ!これ・・・?」 「こんな事もあるかと思ってね。  エマはいつもいつも僕に気を使って、ハイヒール履かなかっただろ?  それはそれで凄く嬉しかったんだけどさ、  そろそろ君も立派なレディーだし・・・。  凄く似合うドレスを着てるのに、足元がスニーカーじゃ悲しいだろ?  だから・・・、僕が選んだそのハイヒールを履いて、  堂々とみんなの前に出てくれよ。」 「でもこれ・・・、7センチもヒールがあるわよ?  これを履いたら、私、あなたより大きくなっちゃう・・・。」 「関係ないよ。身長の差なんて。  むしろ僕は、君が誰よりも素敵でいてくれた方が嬉しいんだけど?」 エマはしばらくためらってはいたものの、 それでも決心したように、薄紙に包まったその靴を丁寧に取り出し、 今まで履いていたスニーカーを脱いで、そっと足を入れた。 「素敵・・・。  それに私にぴったりだわ・・・。」 「うん、よく似合ってる。  そのドレスにも合ってるよ。」 そっと手を差し出し、エマをエスコートする。 ほら、こんなにヒールの高い靴を履いたって、 いくらか僕の方が背が高いじゃないか・・・。 ちょっぴり得意げになった僕の腕に、自分の腕をからませてくるエマ。 「ありがとう、ダン。  これ、とっても気に入ったわ。  ずっとずっと大切に履くわね。」 スニーカーを脱いで、更に素敵になったエマを見て、 僕はとっても誇らしい気持ちになってきた。 「エマ?  あっちでは又ディビットがうるさいから、  あんまりくっついていられないよね。  だから・・・今のうちに・・・」  プレミア前の、二人のお決まりのキスを交わすと、 僕達は笑顔で控え室をあとにした。 さあ、僕の自慢の彼女がどんなに素敵か・・・、 君達の目でしっかりと確かめてくれよな! ========


愛があれば、身長の差なんて・・・!(妄想)

やっぱりハイヒールで登場したエマちゃんですが、
こんなやりとりがあったらいいなあ・・・と、
いてもたってもいられずに、書いてしまいました。(笑)
しかし、ここまで私に身長ネタで動かされてるダン!
本当にごめんなさい〜。

========