ほら、又あの声が聞こえる・・・。 「ハーマイオニー・・・、ハーマイオニー・・・。」 誰?どこから呼んでいるの? あなたには私が見えているの? まったく姿の見えない誰かから、 こうして呼びかけられる事が最近多くなった。 不思議と怖い感じはしなかった。 それどころか早く見つけてあげたいような・・・、 早くその声の主に会いたいような・・・、 自分でも説明のつかない感情でいっぱいだったの。 どこかで聞いた事のある、優しく温かい声。 あなたは一体誰なの・・・?

JEWELLERY TELEPATHY
去年の私の誕生日にハリーが一つのピアスをプレゼントしてくれた。 ダイアゴン横丁で見つけて、とっても綺麗だったからと言って、 素敵な包装紙もリボンもなく、ただそっと手渡してくれた物。 今までピアスなんてした事なかった私は、 それをきっかけに耳にホールを開け、そのピアスを装着した。 少し大人になったような不思議な感覚。 それ以上にハリーがプレゼントしてくれた事が嬉しくて、 ほとんど毎日それを肌身離さずつけていた。 それからだった。 あの声が聞こえるようになったのは・・・。 「ハーマイオニー、どうしたの?ぼんやりして。」 「あ、ハリー。  ううん、なんでもないの。」 そう応えながら、ハリーの声のした方を振り返った。 え? ハリーなんていないじゃない・・・ 私は談話室の自分の座っているソファの周りを見渡した。 そこにはハリーはおろか、ロンすら座ってはいなかったのだ。 空耳かしら・・・。 でも、あの声は確かにハリーの声だったわ。 ふと談話室の隅の窓際に目をやると、ハリーが私の方を向いて立っていた。 そして私と目が合うと、少しだけ微笑んでこっちにやってきた。 「ハリー。今私に話しかけた?」 「え?いや。ずっとぼんやりしてる君の事は見てたけど?」 「そう・・・。」 「どうしたの?」 「ううん。あなたの声が聞こえたような気がしたの。  でもあなたは窓際に立ってたから・・・、おかしいなと思って・・・。」 「そんなにいつもいつも僕の事、考えてくれてるの?  幻聴が聞こえちゃうくらい?」 「ばかね。そんなんじゃないわよ。」 「え?何が”そんなんじゃない”の?」 「・・・・。  今あなたが言った冗談の事よ。」 「今僕何も言ってないよ?」 「は?言ったじゃない!そんなにいつも僕の事考えてるのか・・・って!」 「え?あ・・・、いや、言ってないよ。  ・・・君、どうしたの?」 ・・・・・。 今、確かに聞こえたもの。 幻聴なんかじゃない。 はっきりと目の前にいるハリーから聞こえたのよ。 かなり動揺している私の目に、キラッと光る緑色のものが見えた。 「ハリー、これどうしたの?  あなた前からこんな物つけてたかしら?」 それはハリーの白い首筋にかかっている、シルバーのチェーンの先だった。 小さな小さなグリーンの宝石。 それを手で手繰り寄せ、ハリーの首筋に顔を寄せてよく見てみた。 「ははっ。ばれちゃった?  これ・・・サファイアなんだ。君の誕生石。  持つ者を世界の征服者にするとまで言われた石なんだぜ。  言うなれば、ヴォルデモートと戦う為のお守りってとこかな?」 「グリーンのサファイアなんて初めて見るわ。」 「いや、めずらしいわけじゃないみたいだよ。  コランダムって言う鉱物で、赤い色以外はみ〜んなサファイアなんだって。」 「詳しいのね?意外だわ・・・。」 「そう?でね?この間君にプレゼントしたピアス。  あれは僕の誕生石のルビーなんだ。  魔よけの効果があるらしい。  僕がつけてもいいんだけど、赤い色はちょっとね・・・。    ルビーもこのサファイアと同じ鉱物で出来てるんだって。  つまり、君の持ってるピアスと僕のつけてるネックレスは  同じ石ってこと。  悪くないだろ?」 更にハリーは続けた。 「ついでに言うと・・・、  同じ石で出来てる宝石を身に着けた者同士は、この石を通して  何らかの絆が生まれるらしいんだ。  さっき君が聞こえたって言う声・・・、  あれは僕が心の中で話していた声だったと思う。    間違いなくさっき君に "僕の事考えてくれてるの?" って聞いたから。」 じゃあ、今まで私の耳に聞こえていた声は みんなこのピアスを通して聞こえてきたハリーの声だったの? いつもいつも私の名前を呼んでいたのはあなただったの・・・? 「でも、どうして・・・?  どうして・・・」 「君の事を呼んでいたか?  そんな事簡単だよ。  つまり、それは・・・、 最後のハリーの一言は、やっぱり耳につけている ピアスからの声だった。 優しくて・・・、温かくて・・・、 そして愛が沢山こもっている、いつもの声。 "・・・僕は君の事・・・愛してるからだよ・・・" ========

ほら、ここにもハリーとハーの繋がりが・・・。
女史が意図して考えた伏線なのか、
はたまたただの偶然なのか・・・。
同じ鉱物だからって、血縁関係でした・・・じゃ
困っちゃいますけどね・・・。

Art by Joie
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