His Birthday
もうすぐハリーの誕生日。 今年は何を送ろうか考えていた。 直接本人に聞いたら何が欲しいって言うかしら・・・? ・・・もしかして・・・わたし? な〜んて・・。 ・・・・・コホン。 冗談よ。言ってみたかっただけ。 彼にはジニーという、想い人がいるの。 実際今は付き合ってはいないけれど、 嫌いで離れたわけじゃないから、 まだお互い想い合っているはずなのよ。 ジニーは彼に何を贈るのかしら・・? それこそ”わたし”だったりして・・・。 ・・・・・ やめよう。 自分で自分を傷つけたって仕方がない。 そこでふと自分を見つめている視線を感じた。 気になってそちらを振り返ると、ハリーが ニヤニヤしながら私の事を見つめていたのだ。 「ちょっと!なによ、ハリー。 人の顔を見て、何笑ってるのよ?」 「ははは・・・。ごめんごめん。 見るつもりは無かったんだけど、あんまり君の表情が コロコロ変わるもんだから・・・おかしくてさあ。」 「そんなに変な顔してた?」 「うん。赤くなったり、薄ら笑いを浮かべたり 終いには怒ったり、泣きそうになったり・・・。 ねえ、何考えてたの?」 「秘密よ。ハリーには教えない。」 「何だよ〜。気になるじゃないか。 あ、わかった。大好きなロンにどうやって思いを 打ち明けようか考えてたとか・・・?」 「・・・・」 「・・・え?や・・もしかして・・・図星?」 無神経鈍感男。 心の中でハリーを罵った。 そりゃロンは大好き。 喧嘩もするけど、本当にいい奴だと思う。 でもロンを好きな気持ちとハリーを好きな気持ちは 全く別のものなのよ。 ロンだって私の事なんて、女として見てないわよ。 「今年はスネイプがいないから、開心術を教えて貰えなくて残念ね、ハリー?」 「え?図星じゃないの?」 「どっちにしたってハリーには言わないわよ。 ね、ところで来月のあなたのお誕生日、プレゼントは何がいい?」 「プレゼントくれるの?」 「毎年あげてるじゃない。」 「そうだけど・・こうやってリクエストさせてくれるのは 今年が初めてじゃない?」 「ん・・・、そうね。そうかも。 で、何がいい?」 「そうだなあ・・・。 なんでもいいの?何でも応えてくれる?」 「私が出来る範囲でならOKよ。」 「じゃあ、これしかないよ。 ハーマイオニーが欲しい!」 はーまいおにーがほしい・・・? 「そ・・そ・・そういうセリフはジニーに向かって言うべきよ!?」 「え?ジニー?彼女は僕と別れて、もう他にボーイフレンドがいるよ?」 「ええっ!?いいの?あなたそれでいいの?」 「いいも悪いも、僕達付き合ってないんだから関係ないだろ? それに、去年はどうしてあんなにジニーに執着したのか 自分でもよくわからないんだ。 シリウスがいなくなって、あんまり寂しくてどうかしてたのかな・・・?」 「何、女たらしみたいな事言ってんのよ!?」 「それで?くれるの?くれないの?」 くれる・・・・って何を? 「私をプレゼントって・・・・・? 私の何を・・・プレゼントするの?」 「えっ?つまり・・・ナニを・・・。」 「ナニをーーー!?」 「何叫んでんだよ!ナニじゃなくて、・・・ ・・・しゃ、写真だよ、写真!」 「へ?写真?」 「そう!君の百面相写真。 毎日退屈しなくて済みそうじゃない?」 「・・・却下。 もういいわ。自分で考える。 あなたに直接聞いた私がばかだったわ・・・。」 そう言い捨てると私は力の抜けた足で寮への階段を登っていった。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 「ハリー君。君も苦労するねえ? 惚れた相手が悪いよ。 僕までしっかりダシに使ってくれっちゃって。 で、写真でいいのかい?ナニの方が本当は・・・」 「うるさいよ、ロン!」 「ま、せいぜい頑張るんだな。 何なら僕からのプレゼントにしてやろうか? 彼女のナ・ニ。」 まったく・・・どいつもこいつも・・・。 どう聞き間違えりゃナニに聞こえるんだよ。 ナニを写真って言って、納得するハーマイオニーもハーマイオニーだ。 ・・・・ まあ、ナニもよかったかも・・・。 いやいや、僕はそんな男じゃないぞ! そういう事はロンや双子が考える事だ。 「で?本当は何て言ったのさ?」 「・・・笑うだろ?」 「笑わないよ。僕がいつ君の事で笑ったりしたよ?」 僕はやっぱり言うのをやめた。 せっかくの誕生日にロンに冷やかされながら過ごすのは 本意じゃないし・・・。 でもさ。 ナニ・・、写真・・・、 そして・・・・愛・・・・ やっぱりみんなどこか似てるかもね。 ======== 決死の覚悟で告げたハリーの想い。 しっかり聞き間違えられて、ハリーは撃沈。 お互い気持ちは一緒なのに、なかなか通じ合えません。 これ連載にもなりそう・・・。 Art by liv347 ========