LESSON 6

「な〜んかさぁ、いつもと違わないか?」 「何が?」 「いやさぁ、こう花が咲いてるっていうか、空気が…ピンク色っていうか…」 「何処に花が咲いてるの?」 「そうだよ、この季節に花なんて一つも咲いてないだろ?」 「そうかあ?」 「ロン!何寝ぼけた事言ってるの? どこにあるのよ、教えて頂ける?」 「うん、・・・例えば君達の回りとか。」 「僕とハーマイオニーの?」 「そうだよ。しかも空気はピンクか虹色だね! 君達の回りだけ春がきたみたいだ」 僕とハーマイオニーは顔を見合わせた。 そしてみるみる真っ赤になる…。 「ほらほらほら!今だって…。 それに、ハーマイオニー? どうしてハリーのローブの手元を掴んでるんだい? 後ろから見れば、まるで手を繋いでるみたいだぜ!」 それを聞いてハーマイオニーは、慌てて僕のローブから手を離した。 「ロン?君に春が来ないから、そうやって何でも フィルターが掛かって見えるんだよ。 そんな心理状態じゃ、終いにスネイプとトレローニーが一緒にいても、 花が咲いて見えるぜ?」 「そうかなあ?」 「そうだよ!」 「さぁ、あなたはこれから見回り当番でしょ? 早くしないとフィルチに怒られるわよ?」 「ふ〜ん…」 腑に落ちないという顔で、ロンは見回りに向かった。 そして彼が見えなくなると、僕たちは又こっそりローブの下で触れ合った。 ハーマイオニーとこうして、ほんの少し触れ合っているだけで、 僕はとても満たされた気持ちになる事に気が付いた。 あの日から僕たちは、気が付けばお互い相手のどこかに触れていた。 人気のない所では唇に触れ合う事もあったけど、 そうすると又変な気持ちになってしまうから自重はしていたけどね。 「ねぇ、ハーマイオニー、覚えてるかなあ? 1年の時僕がクィレルと戦った後、医務室に運ばれただろう?」 「えぇ、賢者の石を取り戻した時ね?」 「うん。あの時君、僕の姿を見るなり抱き着きそうな勢いで入って来たんだ。」 「ウフッ、もちろん覚えているわよ?それがどうかしたの?」 「…でも君は思い直した様に、僕に抱き着くのをやめたんだ。  あの時ちょっと安心したから覚えてるんだけど…。  ねぇ、どうしてあの時止めちゃったの?」 「あら、でもあの時はあなたもホッとした顔したじゃない?」 「当たり前だよ!まだ11歳の頃だよ?  女の子に抱き着かれるなんて経験、全然なかったんだから…」 ハーマイオニーはその時のことを思い出しているのか、 頬を赤く染めながら話し出した。 「スネイプの罠をくぐり抜ける時、私思わずあなたに抱き着いちゃったでしょ?」 「うん。」 「あの瞬間からスイッチがONになったの。  だから、二度目は意識しちゃって出来なかったのよ」 「スイッチって…、僕の事を好きになるスイッチかい?」 「そうよ?」 「じゃあきっと僕もその時、知らず知らずのうちにスイッチ入ってた…って事だよね。  気付かないうちに入ってたから、今までわからなかったんだ。」 「それで?私とキスして、気付いたの?」 「そうなんだろうな、きっと…。  でも友達でいられる期間が長かったからこそ、気付く事が出来たのかもしれないし…」 「そうね、私達には絶対必要な6年だったのよ。」 「ねぇ、ハーマイオニー?  君は後悔していない?僕とこうなった事…」 「当たり前じゃない!  少なくとも私は、あなたよりずっと前に自分の気持ちに気付いていたのよ?  あなただけが気付いてなかったんじゃない…」 「うん、ロンも分かっていたようだったしね。  本当に近すぎて、これが愛だってわからなかった。    ・・・ハーマイオニー、これから僕ジニーと話をする事になってるんだ。  だからそこで、きちんと自分のいい加減さを謝ってくるよ。    許してもらえるかは分からないけど・・・。  それからジニーがきちんと許してくれるまで、僕たちは友達に戻ろう。  君とはみんなから認められた上で、幸せになりたいんだ。」 「えぇわかったわ、ハリー。大丈夫、待っていられるわ。」 「本当?キスも…、それからこんな風に触れ合う事も、  しばらく出来ないかもしれないよ?」   僕はわざと声を低くして、彼女の耳元で囁いてみた。 「あら、私は今までずっと我慢してこれたじゃない。  あなたこそ大丈夫なの?  私を見てるとこうやって抱きしめたくなっちゃうんでしょ?」 悪戯っぽく笑う彼女が堪らなく愛しい…。 だから自分の気持ちを正直に言ってみた。 「うん…、抱きしめてるだけじゃ済まなくなるよ…」 そう言って彼女を抱く腕に力を込めた。 そうして僕はジニーの待つ場所へと向かった。 どうしてジニーとキス以上の事ができなかったのか・・・? 今考えると、好きって気持ちだけじゃ、お互いを感じあう事は出来ない。 愛してるという気持ちがあって始めて相手の全てを欲しいと思う。 そんな簡単な事をやっと気付かせてくれたハーマイオニー。 そして僕にとってのそんな存在が、6年間も親友として近くにいた彼女だったとは・・・。 ジニーへの思いとハーマイオニーへの想いとは、全く次元の違うものだったんだ。              やっと終わりだよ〜! ======== 私は男ではないので、果たして愛が無ければ抱くことはできないか・・・? と、問われればちょっと分からないのですが・・・。 でもハリーはそういう男性であると思っています。 長ったらしいお話を最後まで読んで下さり、ありがとうございました。 おい、くう!間違っても変態ハリーの話を今後載せたりするなよ! 破棄したなんて言葉、信じてないからな!・・by Harry 知〜らないっと! た ぶ ん 大丈夫よ、ハリー。 安心してねvv ========