THE LAST HORCRUXES
分霊箱を探す旅も終盤を迎えていた。 最後はグリフィンドールかレイブンクロー縁の物・・・ それがどうしてもわからなかった。心辺りのある物は全て調べた。 だけどこれだけはどうしても探し当てられなかった。 「ハリー、もう一度ホグワーツに戻って考えてみましょう。 あそこならきっと何かヒントがあるはずよ。」 ハーマイオニーの言葉に従い、僕たちは今学校に戻っている。 ここを離れる前には気付かなかったけど、なぜか僕には今探している物が、 とても近くにあるような気がしていた。 ただ漠然とだけれど、そういう時の勘は不思議と外れた事はない。 久し振りに戻った男子寮のベッドの上にハーマイオニーと二人腰掛け、 創設者に関する本を読んでいた時だった。 「ハリー、そこにあるのはなあに?」 ハーマイオニーの指差す先には、個人の机がある。 その僕の机の引き出しが少しだけ開いていて、何やらキラキラ光る物がのぞいている。 それは一年前、シリウスが僕にくれた両面鏡だった。 あれからこれを見るのが辛くて、引き出しの奥深くに押し込んであった物だ。 「君に見せたことなかったっけ? これシリウスから貰った鏡なんだ。対になっていて、 それを持っている者同士、離れていても話が出来るらしいんだ。 ・・・一度も使った事はないけどね・・・」 「じゃあシリウスも同じ物を?」 「うん、多分。きっとグリモールドにあるんじゃないかな?」 「見てもいいかしら?」 「あ、うん。」 僕は二度と触れる事はないと思っていたそれを、引き出しから取り出した。 「気をつけて…。割れてるから…」 そう言って僕の手から彼女の手に渡った時だった。 突然二人の目の前が真っ白い光に覆われ、二人同時に気を失った。 そこはよく知った場所だった。目の前にはハーマイオニーがいる。 さっきと同じように僕と彼女は二人でベッドの上に座っていた。 だけどここにいるのは、僕でもハーマイオニーでもなかった。 「ねぇ、ゴドリック?こんな所に私がいるのがばれたら、大変な事になるわね?」 「大丈夫だよ、ロウェナ。 でも気をつけたほうがいいかな。 離れていてもいつも君を近くに感じられる様に、今日は君にプレゼントがあるんだ。」 ゴドリック…?ロウェナ…? じゃあこの目の前にいるのは、ハーマイオニーじゃなくてレイブンクローなのか…? で、もしかして僕がグリフィンドール…? 「これをいつも肌身離さず持っていて欲しいんだ。 これがあればいつでも話ができる。」 「私が持っていていいの?」 「勿論だよ。君に持っていてもらいたい。」 まるで僕の身体を借りて、グリフィンドールが話してるような変な感覚だった。 そして僕の身体を借りたグリフィンドールが、ハーマイオニーの顔をしたレイブンクローをそっと抱き寄せた。 「僕たちが愛し合っていた事は、何年も時が過ぎて僕たちの生まれ変わりが偶然出会い、 この鏡を手にしないとわからない。そんな確率はかなり低い。 ほとんど有り得ないだろう。 でももしそれが叶ったら、僕たちは今日の事を思い出すように、この鏡に魔法をかけた。 その時が万が一きた時には、又僕に愛してるって言ってくれるかい?」 「勿論よ、ゴドリック。約束するわ」 そうして二人はベッドに抱き合いながら倒れていった・・・ ふと我に返った。 僕はハーマイオニーを組み敷くようにベッドに押し倒していた。 だけど二人共離れる事は出来なかった。 「あなただったのね…、ハリー」 「…じゃあ君も見ていたの?」 「私達、何千年も前に愛し合っていたのね…?」 「やっと会えたって事なんだ」 「ハリー、…約束した言葉を言ってもいいかしら?」 「うん、聞かせて…」 「…愛してるわ…」 「僕もだ、ハーマイオニー…」 そして僕達の唇が触れた時、何qも離れた場所にある、もう一対の鏡が音を立てて割れた。 そう・・・、二人の愛が知らず知らずのうちに最後の分霊箱を破壊していたんだ。 僕達がそれに気付くのは、次の日グリモールド・プレイスを尋ねた時の事になる・・・ ======== シリウスのくれた鏡が最後に分霊箱を壊すのに一役かってくれないかなあ... 1度も役に立たなかった鏡が、最後の最後に最強アイテムに変わる...。 R女史が読めば、一蹴されるでしょうけどね。 ========