Secret kiss
「ハリー?起きてる?」 「・・・・」 「ハリー?」 「・・・・」 大丈夫…寝てるわね? 談話室でクィディッチの練習に疲れて眠っているハリーに彼女はそっと話しかけた。 しばらくその寝顔を見つめていたが、フッと微笑むとその唇にこっそりキスをした。 「う〜ん…」 「ハリー、ハリー。 起きて。こんなところで寝てると風邪をひくわよ?」 「…う〜ん」 「ハリー、起きてったら!」 「あ、ハーマイオニー…おはよう…」 「なに寝ぼけてるのよ。 まだ夜よ 早くベットに行きなさい」 「あ?又うっかり寝ちゃったよ…」 「疲れてるのよ。 明日は日曜日だからゆっくり休むといいわ」 「うん、ありがとう おやすみ、ハーマイオニー」 「おやすみなさい、ハリー」 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 「ハーマイオニー、ハーマイオニー?」 「・・・・」 ハリーはちょんちょんと彼女の頬をつついた。 大丈夫…寝てる。 ハリーは誰も居ない事を確かめると、そっと彼女の唇にキスをした…。 「ハリー君、君は今なーにをしてたのかな?」 ハリーはびっくりして後ろを振り返った。 するとそこにはニヤニヤしたロンが立っていた 「いや、ロン!これは…、いや、別に・・・」 「いーんだいーんだ。 何をしてたかなんてハーマイオニーには黙っててやるよ…そのかわり…」 そのかわり…? 「明日の夜、君はここで寝たフリをしてるんだな 何があっても起きちゃダメだぜ」 「どうして?」 「いや、明日になればわかるさ。 誰に呼び掛けられても ずっと寝たフリをしてるんだ。 わかったかい?」 「そうしたら今のは彼女に内緒にしてくれるの?」 「ああ、約束するよ」 「なんか変な悪戯でもするんじゃないだろうね、ロン?」 「じゃヒントをやるよ。 そこで君が見る光景は、君が知らないうちに何度もあった事なんだ。 知らないのは君だけだった。 そろそろ知ってもいい頃だと思ってね。」 「そんなんじゃわからないよ」 「いいから!明日。なにがあっても起きるなよ!」 意味ありげな笑いを浮かべてロンは部屋に戻って行った。 あ〜不覚だった。よりによってロンに知られてしまうなんて…。 いや、まだ双子よりましか…。 次の日の夜、ロンに言われた通り僕は暖炉の前のひじ掛け椅子に座って寝たフリをしていた。 しばらくすると誰かが僕のそばに近寄ってきた。 「ハリー?起きてる?」 この声はハーマイオニーだ。 でも僕はロンに言われた通り寝たフリを続けた。 「ハリー?」 がまん…がまん。 秘密をばらされたら大変だ。 彼女にばれるのは、ホグワーツを退学になるくらいの大事件だ。 すると唇に何か柔らかいものが触れた。びっくりして目を開けるところだった。 ドキドキして顔が真っ赤になるのがわかる。 なんだ、なんだ、今のは!? 僕の経験からすると、今のは間違いなくハーマイオニーからキスをされたに違いない。 「おやすみなさい、ハリー」 そう言うとハーマイオニーは寮へと戻って行った。 ちょっと待て。 今何が起こったんだ? ハーマイオニーが僕の寝てる間にキスをした。なんで…? なんでって、そんなの僕と同じ理由に決まってるだろう。 …確かロンはこう言ってたっけ。知らないのは僕だけで、それは何度もあった事だって。 えっ?じゃあこの間起こしてくれた時も…? 何だかおかしくて僕は声を出して笑った。 気付かれるのが恥ずかしくて、人の目を盗みながら奪った彼女の唇… とっくに彼女からも奪われていたんだ。 次の日の夜も僕は寝たフリをして彼女の来るのを待った。 彼女が僕に声をかける… そして…キス…。 今日はそんな彼女の肩にそっと腕をまわした… ======== ロンはとっくに二人の気持ちに気付いてました。 原作の中では、ロンが自分の気持ちに気付かない鈍感少年として書かれていますが、 私の妄想の中では、二人の鈍感さににやにやしながら、それでも優しく見守る、 とってもいい奴なんです。 ========